第13章 青い炎
ライセイとイリヤは幻覚が解除された町を見て回り
住人達が問題なく生活を続けていることを確認終わると
クライヴと火族が戦闘したことで傷ついた建物の修復をする
イリヤの土の力で壁を作り上げ、骨組みとなる鉄骨等は近くの廃棄場所からライセイの磁力で引き寄せていく
誰も使用していない空き家であろうと、元の状態へ戻すことが常識だと認識している
周辺に住む火族達は何があったのか聞き出すために
野次馬になってイリヤとライセイを囲んでいく
全て包み隠さず話すイリヤに火族達は信じられないと
言いたそうな表情をしているが
信頼を寄せているローランとその助手のアンリの恩人だと知ると
反論することなくその場を離れていく
「はぁー終わったー」
その場に座りこみ、肩を降ろして脱力するイリヤ
「質問責めされるのはなれねぇよなー
おつかれさん」
「ライセイは疲れてないの?」
右肩を回し、ストレッチをするライセイにイリヤは不思議な表情を浮かべて問う
「疲れは多少あるけど、体力には自信あるぜ
それに、みんな自分の過去と向き合って力を覚醒させていってるんだ
俺もイリヤも立ち止まってられないだろ?」
「・・・わかってるよ」
意気込むライセイに対し、イリヤは不安が大きかったのだ
自分の全てをさらけ出して本当にいいのか、と。
ジェイクのような事情があるわけではないが
イリヤは己が体験してきた過去から
自分の過去を語ることができなかったのだ
向き合うといっても何から手をつければいいのか
わかっていないところもある
「ほら立てよ、ヒルト達は先にローランさんの病院で待ってるんだ。
片付け終わったって報告してやらないとな」
ライセイとイリヤは仲間が待つローランの病院へ着くと
ヒルトに状況を報告する
ジェイクがまだ目覚めないため、次の場所への出発まで時間があると聞き、不安を持ったままイリヤはユリエフの元へ行く
ユリエフは飛行船の中で誰かと話しているようだが
相手の声に聞き覚えがないと感じるイリヤ
「ユリエフちゃん、今いい?」
イリヤは飛行船の奥の事務室に向かいながら歩き、声をかけると
ユリエフは扉をあけ、深刻な表情をむけてきた
「イリヤさん、ちょうどよかった!
お話ししたいと思ってたところだったんです」
イリヤは部屋に入った時、すぐに目に入ったのは
光で包まれた天族の少年だった