第4章 新たな仲間
その頃、ライセイは全身に微弱な電気を流し、身体能力を上げ
常人では走れないスピードで魔獣を探していた
「逃げ足の速い魔獣だな」
ヒルト達から遠く離れた場所だが
景色は変わらず樹海のままである
「・・この音は」
ライセイは水が流れる音が聞こえ
音の場所へたどり着くと、生い茂る木の葉で包まれた渓流にたどり着いた
水は透き通り、魚がどこに泳いでいるか目視で認識できるほど
自然に恵まれていた場所だった
「こんな場所があったなんて・・ーーーん?」
すぐ目についたのは黒く長い髪をおろし、ボロボロの包帯で服代わりにしている少年
だが包帯の至る所から闇が漏れ、倒れている
「なんだ、あいつ」
恐る恐る少年に近づくライセイ
気を失っているのか、ライセイのことにまったく反応しない少年
「おい、大丈夫か?」
「うっ・・」
「・・こいつの体から出る闇はなんなんだ?
いや、それより場所をかえたほうがよさそうだな」
少年の腕を肩に回し、渓流から降った方面の木陰へ移動し
ゆっくりと寝かせる
包帯で全身を巻いているとはいえ、あまりにも無残な姿に
ライセイは同情を覚える
なぜこんな格好で倒れていたのかーーー
黒い髪に、耳が尖っている
一見すれはダークエルフと思うがおそらく違うだろう
ダークエルフは膨大な魔力を持つ種族として
黒魔術に長けていたが、その魔力を求めて多種族が狩を行い
今では姿を消した歴史がある
万が一を考慮すれば、ダークエルフの生き残り
そして多種族に襲われていた
又は、奴隷として使役されていたが、隙をみて逃げ切り力尽きた
このどちらかの可能性はある
ひたすら少年の事を考え、魔獣の事には気をとめなくなっていたライセイ
かつて兄の裏切りによって、悲惨な経験をした身として
目の前の少年はほっておけなかったのだ