第4章 新たな仲間
「ヒルト君、どうやってクライヴ君の暴走を止めたのですか?」
「・・・それは」
「ヒルト!
近いぞ、奴の気配だ!」
「!」
闇が樹海に覆われ、霧に囲まれたかのように視界は悪くなっていく
どこからか聞こえる獣の雄叫びのような声
それは激しく、狂いながらこちらに向かってくるのがわかるほど足音が激しく聞こえてくる
枯れた木々をなぎ払われ枝を踏みつけ、近づく瘴気は常人が触れれば気が狂うほどのものだった
「オオオオ・・」
鋭い牙から湧き出る毒
殺意と狂気が混じった真っ赤な瞳
全身が黒い毛皮で覆われ、更に闇で包まれている四足歩行の魔獣
額にはイリヤとライセイが探していた宝石が埋め込まれており
周囲の闇のエネルギーを吸い込み、漆黒の輝きを放つ
「あの魔獣・・イリヤ達が探していた奴だ!」
「本当にあんな罠で誘き寄せれるなんて、ラッキーだな
行くぞ、イリヤ!」
「うん!」
イリヤは自身をはるかに上回る長さの巨大な金槌を武器として取り出し、ライセイも同じく真っ直ぐに伸びる槍を取り出し
同時に魔獣へ襲いかかった
「イリヤ、ライセイ
待ってくれ、そいつはっ・・!」
ヒルトが止めに入る前に魔獣へ攻撃は仕掛けられる
「ーーー罠は成功したな」
「!」
ヒルトの背後に降り立ち、冷静に声をかけるクライヴ
両手には闇の炎が吹き荒れ、周囲のエネルギーを負のエネルギーとして変換し続けている
「ヒルト君、私達もイリヤさん達に加勢しましょう!」
「あ、あぁ!」
ユリエフは魔導弓を構え、ヒルトは風を覆わせた大剣を構え、イリヤとライセイに加勢した
だがクライヴは武器を取ることなく、ただ黙って見ているだけであり
その目には敵意も殺意も慈悲もなく、ただ傍観者としてそこにいるだけであった
「ライトニング・ブレイク!」
「ストーン・リブスト!」
ライセイの電撃は魔獣の体を麻痺させ、更にイリヤの岩石が手足を固定したことで
身動き取れない魔獣
「よし、仕留めれる!」
呻き声をあげなから、必死に抵抗する魔獣
槍を構え直し、追撃をするために踏み込むライセイとイリヤ
だが、魔獣の額に埋め込まれた宝石が眩い光を放ち、同時に雄叫びを上げる魔獣
「!?」
閃光のように光る瞬間、ユリエフとヒルトは光と風の防御壁を作り上げライセイ、イリヤを閃光から守った