第13章 青い炎
アドラの中で親が殺され、偽りで塗り固められた友に裏切られ、自分は何もわからないまま死んでいく絶望感に声を荒げないと気が済まなかった
「っ・・クソがぁぁぁぁぁ!!」
「よく吠えるな
まだ元気が残っていてよかったぜ」
いびつな人格はアドラの首を締め上げ、術を完全に発動させていく
そして悲鳴と共にアドラの魂が消え、近くに供物としておかれていたヒエンの肉体の皮を剥ぎ取り、姿をヒエンと同じように変えていくジェイク
「必ず、お前を救いに行く・・」
いびつな人格はそう残し、すぐに消えた
肉体の奥で閉ざされていたジェイクは絶望に包まれ、言葉が一切でなかった
無意識に火族の人形となり、知らない間にアドラを巻き込み、そのうえで失敗したことで自らの手でアドラの記憶を改竄させている
「一体・・いつから俺は・・!」
「お前がインドリームの加護を受ける前からだ」
「!?」
突如姿を現したのは、バリスタンと、傍らに、不気味な笑みを浮かべて立っているナバルト市長だった
「お前がインドリームの加護を受けるずっと前、アドラと共謀し、我々一族に牙をむいた裏切者だ
その報いとして命を奪うつもりだったが、アドラの命だけでも救ってほしいと俺に懇願した。
だから禁呪を植え付けることを条件に、俺はお前とアドラの命を取らないでやったんだよ
まぁ。扱いやすい禁呪とはいえ、お前の受け入れる意思は必要だった分面倒だったが、当時のお前はすぐに承諾した
だからいびつな人格が生まれた時、そいつに条件を課せばいつでも表にだせるような呪いを与えれたってわけだ。」
「待ってくれよ、バリスタン!
俺はアドラの親を殺してなんか」
「それはお前がインドリームの加護を受ける日の記憶が最初として残っているからだろ?
生まれた時からの真実なんて、ずーっと前に改竄されて記録にも残っちゃいねーんだよ」
あざ笑いなかがら語るバリスタンは葉巻を咥え、ニヤけて語る
対してジェイクは何も言葉が出ず、絶望に打ちのめされ、脚の力を失う
「だからさ、ジェイク君もアドラ君も最初から作り物の思い出と記憶を大事にしてたんだ
私やバリスタンから見れば滑稽だったね」
膝まづくジェイクの頭を撫でながら
ナバルト市長は笑顔で悲惨なことを簡単に語る