第13章 青い炎
周囲の暗闇に亀裂が生じ、足元には赤い魔方陣と炎が揺らめき、天には紫と朱色が混ざったいびつな宇宙が広がっていく
「これは・・・」
ヒルトは結界の中に起きた異変に戸惑い、隣に立つジェイク本人を見つめる
「インドリームの力を俺が奪ったせいで、ヒエンが創った結界事態が崩れ始めたんだ
宇宙がなぜ見えるようになったのか、今でもわからない
インドリームの力を無理矢理奪った影響かもしれないな」
ジェイクが語り終えた時、結界は全て破壊され、外の世界に戻った幼きジェイクは、空っぽとなったヒエンを引きずり、アドラとナバルト市長の前に姿を現す
なぜかアドラが座り込み、急いで立ち上がった
「ジェイク、そいつまさか」
「あぁ、炎のインドリームだ」
インドリームの力がようやく手に入る
ジェイクは心が躍る気分で高揚していた
だが、アドラの目には疑いしかない
ナバルトはすぐにヒエンの肉体を奪い、その場から去っていく
「ふー、まずはこれで休めるな」
ジェイクが何気なしに発した言葉を境に、アドラの中で我慢の糸が切れたのだ
唐突にアドラはジェイクが知りえない過去の話をしてきてくる
それはアドラの記憶を消したのはジェイクであり、昔、火族長幹部を殺そうとし、失敗に終わったこと。
そして、アドラの家族と記憶を消すことでジェイクだけが改竄されずに生き続けてきた事。
身に覚えのない事を語られている中、ジェイクは内側に眠る嫌な気配を感じた
それが何なのかわからない
それでも、それ以上アドラの話を黙って聞いていれば
間違いなく壊れる気がした
「やめてくれ・・俺の前でその話をするな。」
か細い抵抗力が感じない声
そんな声でアドラは止まることなく、語り続ける
その瞬間、ジェイクの意識は遠くに消え、別のいびつな人格が表に出だす
いびつな人格はジェイクの肉体の主導権を握り、アドラの腹部を拳で殴りつけた
「がはっ?!」
「お前がその話をすると、コイツは消えるんだよ」
「な゛・・んだ・・てめ!
ゴホッゴホッ!」
『やめろ、アドラを傷つけるな!』
心の中では勝手に動く肉体を抑制しようとするジェイク
だが、いびつな人格には何も届かない
まるで夢の中で傍観しているような感覚。
いびつな人格はアドラの意識を奪い、強奪の剥奪を発動させた
アドラが今でもいびつな人格がジェイクだとは信じれない表情で睨む
