第13章 青い炎
結界の中にたどり着いたため、また景色は変わり
暗闇の中、1人で膝をついて悲しみに打ちひしがれた少年がいた
今のジェイクの姿をした、ヒエンだ
結界の中に入った過去のジェイクは躊躇なく進んでいく
周辺には蛇の形をした炎が漂うが
ジェイクに一切攻撃をせず、睨み潰すのみ。
「そいつらは結界に入ってきた侵入者を排除するために作った
けど、彼らにとって君は侵入者じゃないということだ」
悲しく、そして冷静に語るヒエンは顔をあげ、冷たいジェイクと目を合わす
「久しぶりだね、ジェイク君」
「久しぶりですね、ヒエンさん
そしてさようなら。
貴方は今日、全てを無くす・・」
殺し屋として立派な振る舞いを見せられ
ヒエンは少し目を丸くし、そして彼もまた、火族の戦士としての振る舞いで答える
「僕は君の中に眠る覚悟は本物だと思う
それは暗殺者として人を殺めるものではなく、友達という大切な存在を何者からも守るという気持ちであり、戦士として相応しい。」
「・・・」
「だから僕は君に問い、君は応えた。
インドリームの加護は一方的に与えれないし、インドリームとして素質がないとだめだ
あの時点でジェイク君には素質があった・・僕は素質ある君と出会えて誇りに思っている」
「・・あんたはこれから死ぬ。
怖くないのか?
それは火族の戦士だからか?
それとも、インドリームだから?」
「死ぬことは怖くない人間なんていない。
けど、僕が選んだ選択は後世に正しいと証明される
インドリームの力も、君に引き継がれる
こんな形で引き継がれるのは、少し悲しい気持ちはあるけどね。」
「-------」
ヒエンの揺るがない態度を向けられ、幼いジェイクはほんの一瞬ためらう
インドリームの素質があったとはいえ、力を引き継ぐ者が禁忌の術を冒して命の力を無理矢理奪おうと目の前にいる
命を助けた者に、裏切られているのにもかかわらず、それでも、悔いはないと誇らしげに語る
その時のジェイクには、後世に結果として残ることの喜び等理解できるはずがなかった
「あんたは・・・」
ジェイクは心の奥からにじみ出る感情を押し殺し、全ての意識を術の行使へ向けた
闇族から教わった禁術を行使するため、呪文を唱えはじめるジェイク
それでもヒエンの表情は変らない
変っていくのは、インドリームの力がジェイクの中に吸収され、ヒエンの姿も薄くなっていく
