第13章 青い炎
「方法なんて関係ない
誰が犠牲になろうと関係ない
どれだけ罵倒を浴びせられても関係ない
どんな罰があっても受けてやる」
「ジェイク・・・?」
「アドラを守り、失ったものを取り戻すには力が足りない
だから俺は決めていたんだ
この現状を打開するには、インドリームの力がいるってな」
右手を水平に前に出し、強く拳を握りしめる
その瞬間、景色は打ち壊され、火族の都市部から50キロ離れた彼方から遠い先で炎の柱が打ち上げられる
「この力、インドリームの!?」
「そう。
ヒエンが俺に与えたインドリームの加護と、ヒエンが持つインドリームの力を呼応させた
そうすれば、火族は必ずヒエンを探し出し、俺に全ての力を授けるために動き出す」
炎の柱にすぐに反応したのは、インドリームの力を奪おうと暗躍していた火族達
ある者は上層部へ報告し、
ある者はすぐにでも我がものにしようと手を伸ばす
目を血走らせながら欲に塗れた者達が
我こそはと力を払う
炎の柱が止んだと思えば、すぐに爆発が発生し、周辺の木々が薙ぎ倒される音が響いた
「力を呼応させたって・・・
つまり、お前はインドリームの力を手に入れるために、ヒエンを炙り出したのか?!」
「そう。
インドリームであり、火族でもあるヒエンは上層部から力を奪われないようにするために
正式にインドリームだとは公表せず過ごしていたんだ
けど、火族はそこまで鈍く無い。
ヒエンの事は怪しいと思い、監視だけはしていた
おかげで、すぐに確保できたけどな」
「っ・・・
他にもインドリームの加護を受けていた人がいたら
どうするつもりだったんだ?!
その人達も犠牲にするのか?!」
「安心しろよ、ヒルト
俺以外にインドリームの加護を与えられた火族はいない
それは力が呼応させた時に、他にも反応した奴がいないことで確認できた
まぁ、いた場合は殺す事はしないけど、何かしら手はうってたかもな。」
他人の事は簡単に切り捨てる
己の目的の為なら犠牲は厭わない
ヒルトは改めてジェイクの中に根付いた、火族としての本性に圧倒される
そして風景は、変わり、幼きジェイクとアドラが結界に閉じこもったヒエンの元にたどり着き、フォレスト城に居住を持つナバルト市長に説明を受けていた
ジェイクだけが結界を潜れると知り、無理やりにでも入っていくその後ろ姿に
何の抵抗も罪悪感もない
