第13章 青い炎
「闇族?
どうして火族の負傷兵を?」
「闇様とは昔からビジネスパートナーとして交流がある
あいつらは常に血肉を求めてて、俺達火族は常に戦場を求めてる
戦いとなる要因を闇族が作り、戦場という行き場を与えられた火族はどの種族も関わらず人間の肉体を闇族に献上していたんだ」
「・・・」
「そんなに考え込んでも、現実は変わらないんだよヒルト
ここにいる奴等はもう存在してない
肉体的にも、精神的にもな」
冷たい目線をヒルトに向けたジェイクは切り捨てるように言い放つ
「何もかも、無意味なんだ
どれだけ希望を持とうが、友達を作ろうが、仲間を作ろうが
結局は力を持った奴らに奪われ、好きなように書き換えられる
だから俺はインドリームとして成り済まし、俺のやり方で俺自身と、俺が大切に思うものを守ろうと思ったんだ」
「ジェイク・・」
「本当の炎のインドリームの名はヒエン。
あいつはインドリームの力を使い、俺の記憶改竄を阻止させた
おかげで今まで火族を騙しながらここまでこれた」
拳を握りながら余計な一言を発することなく、淡々と自分自身の事を話す
幼きジェイクは数多くの戦場で戦い、功績を上げている
アドラの居場所を探し続け、ついに見つけ出す
そこは火族の中で優秀な暗殺部隊が集う場所
死風の暗殺部隊の一員と成っていたアドラを。
「あの時、俺はアドラと再開できたことが嬉しくてたまらなかった
やっと見つけれたんだ
・・けど、俺が知るアドラはもういなかった
火族に全てを奪われ、仮初の記憶を植え付けられた傭兵として完成していた」
ジェイクとヒルトが見つめる先は、幼きアドラが先行して任務を課なし、数多の町と国を陥落させていく暗殺の姿がある
その後ろでは、悲嘆に暮れる表情が隠さずにいる過去のジェイク
映し出される光景は常に業火に包まれる破滅と、人の死体の山
希望なんて言葉はどこにも生まれはしない
考えもつかないだろう
それでも、過去のジェイクは争い続けていた
ヒエンが何故自分だけにインドリームの加護を与え、記憶の改竄から守ったのかはわからない
自分ができることなど、しれている
それでもーーーーー
「それでも、これ以上奪われてたまるかよ」
幼きジェイクと、精神体となっているジェイクは口を揃えて呟く