第13章 青い炎
「火族がどの時代でも、一番最初にインドリームとして覚醒しやすい
たとえ7歳の少年でも立派な実力者だ
それに、ヒエンは俺と違って自らの意志で戦っていた火族だから、いつも前線で武功を上げていたしな。」
「・・・」
負傷した幼いジェイクの手を取り、応急処置を施しジェイクの目を見つけた
「君からは、僕と同じものを感じる」
目を輝かせ、ヒエンはジェイクの両手を握った
「君の名を聞かせてほしい」
輝く瞳は純粋な少年そのものであるが、同世代のジェイクでは引いてしまうほどまぶしかった
だが、なぜかジェイクの口は自然と開き、自らの名をかたる
「そうか、ジェイク
君に一つ聞きたい。
ジェイク君はどうして戦う?
自分のためか?
それとも、誰かを守るためか?」
その時、ジェイクは考えもしていなかった質問に言葉が詰まる
戦う必要があるから戦う
そう思うだけでずっと戦ってこれたからだ
なぜと聞かれても答えがない
ヒエンからの問いに初めて、自分は意志なく戦っていたことに気付き戸惑う
認めたくなかった
自分が操り人形ということを。
そんな状況で咄嗟に浮かんだのはアドラと過ごす日々
笑い、肩を組みながら友と過ごす日々は何よりも温かく感じた
「友達・・アドラを守るためだ!」
ジェイクから意志を持った答えが返ってくるとは思っていなかったのか、ヒエンは目を丸くしたがすぐに優しい表情に変わり自らの胸部にジェイクの右手を当てた
「君が友達を守る力はここにある。
忘れてはいけないよ
いつだって大切な人を守る力は夢から生まれる」
「え・・・それって・・・」
風が吹き、ジェイクが目を閉じた瞬間、そこにはヒエンの姿はなかった
辺りを見渡すが、ヒエンがここに来たという痕跡すらなかったのだ
「なんだったんだ・・今の・・」
ジェイクは手当てされ包帯を巻いた腕を見つめ、再びアドラの元へ向かうために足を進めた
近くで見守っていたヒルトはヒエンというインドリームが語った言葉の意味が真実であり、心から同意できるものだと感心する
だが、ジェイクは一向に冷たい目を変えることなく、幼い自分が走っていく方向を見つめていた
「ヒルト、しっかり見てろよ」
「?」
「これからが現実・・真実だ
俺が言うどうしようもない奴ら・・人間の腐った本性が嫌ほどわかるぞ」
「それはどういう―――――」
