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IN DREAM2

第13章 青い炎




「それに、みんな同じ境遇で生きてきたわけじゃないだろ?
時間を共有したって言っても隠し事くらいあるのは当たり前だ」

吹っ切れた表情は同時に清々しく、何の重荷もなく固定概念に囚われることなく自由に舞う
それは風そのものといっていい
ヒルトを見ていた仲間達は誰もがそう思ったのだ
インドリームのリーダーであるヒルト・クローズという存在は
自らが持つ夢に全てをかけているのだ
信頼、仲間、信頼、そして己の命でさえもーーーー。

「はははっ
すげーな、ヒルト」
ライセイは己が抱いていた疑問が風になって消えた感覚がした
ヒルトは仲間だという関係でも隠し事があっても構わないと認識している
世界を正しく平和へ導く夢を持っているなら、何があっても諦めないし、救いの手を指し伸ばす

ライセイの心の中を読んでの回答ではない
それでも、的確に疑念を晴らしたのだ
安心感を抱いたライセイに、微笑むようにヒルトは頷き、改めてクライヴを含める仲間へ目を向ける

「だから俺はジェイクと戦うことがあっても信じてる
インドリームとして正式な方法で力を得たわけじゃなくても、あいつが持っている夢は俺たちと同じものだ」

いつ何時もヒルトの主張は変わらない
どんな敵が訪れようと、ジャイクと立ち向かう覚悟はできているのだ
光にと希望と夢を背負い、確固たる姿勢で話すヒルトを見ていたクライヴは静かに笑い、穏やかな表情で答える
「それでこそヒルトだ
お前はジェイクと戦うことに専念しろ
後ろのことは俺達に任せればいい」
「うん、ありがとうクライヴ!」

「ヒルト君、これを渡しておきたいです」
ユリエフは光の球体を両手から作り出し、そこから小さく光る白い宝石をヒルトの右手の平へ置く
「ユリエフ、これは?」
「天族が使用する守りの転移石です
私と遠く離れた場所で、もしヒルト君が結界の中に閉じ込められたり、私の元へ急遽移動されたい時に使ってください
使用する時はヒルト君の魔力とどこへ移動したいか命令するだけで大丈夫です」
「ありがとう、ユリエフ」
「あと、これは約束してください
絶対無理はしないと。
これから向かう場所も敵も危険です
例えヒルト君が強いからといって、全てが順調に進むことはないのですから。」
不安気な表情に包まれながらユリエフは転移石を持つヒルトの右手をしっかりと握りしめ、念を押すように語る


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