第13章 青い炎
危機感から、主人を守るために引き下がろうとしないラルザに対し、
クライヴはまっすぐに魔力の塊を見つめる
インドリームの力は無造作に渦巻く塊は次第に形を整えるように変形していく
エネルギーの中心となる風と光が凝縮された核となり、その中から稲妻が飛び散る
その稲妻を逃げ出さないように包んだ水は巨大な球体となり、更にそれを守っているように
拳サイズのひし形の水晶と黒曜石が周囲を飛行する
無造作に飛行することなく、球体の上部から下部にむかって時計回りに回転していた
「これは、インドリームの力が何かに反応している?
・・・ラルザ、これは爆発するような現象じゃない、俺の前から下がれ」
「ですがクライヴ様!」
「ここで爆発するとすれば、融通が利かない騎士へ向ける怒りだ。」
「っ!
私の失態をお許しください」
「―――二度はないぞ」
クライヴの瞳は怒りの感情が混ざり、赤く光ってラルザを強く睨みつける
すぐに頭を降ろし、ラルザはクライブの命令通り後方へ下がっていく
(さて、この魔力をどうするか)
インドリームの力が抜けたのと同時に意識を失って倒れている仲間と魔力の塊を見比べながら、クライヴは口元に手を添えて考え込む
(力の共鳴は闇族でもあった事象だ
似た者同士の能力が集まった場所で、一方の能力が異常をきたした時に、抑制しるために無意識に魔力だけが反応し、純粋な力の塊になる。
この事象を解消させるには、異常の元を絶つか、一撃で魔力の塊を消滅させるしかないが・・今の俺では消滅させることはできない
だとすれば、異常をきたしている原因の方だが・・・)
過去に体験して得た知識をもとに、対応方法を考えるクライヴの前に球体の中から人の声が発せられてくる
「この声は?」
聞き覚えのない青年の声
それは青年が自らの名を語って始まる過去の光景から始まる
『――――今から13年前に遡る
俺、アドラ・ベルグマンは死風の暗殺部隊として多くの暗殺技術や対話術、スパイとしての経験を積み、隊長補佐として任務を遂行した』
アドラという火族の少年の過去が声と同時に映像としても映し出され、クライヴは考えていた思考をすべて止め、球体に釘付けになった
次々と語られる内容、映像は幻とは思えない
なぜなら、誰も知らない過去のジェイクと繋がりがあり、その姿は火族として活躍していた時期だからだ
