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IN DREAM2

第13章 青い炎




雲った空が広がる天に稲妻が生じ、紙切れがナイフで切り裂かれるように異空間の入口が開く

そして風が吹き、ヒルトを先頭にインドリーム達とアンリ、ラルザが姿を現す

「たどり着いたな」

クライヴは水平に広げた右手の平を拳に変え、すぐに胸元へ近づける
同時に異空間の入口は消えた

「クライヴ、ありがとう
まずは降りようか」

ヒルトは風の力を弱め、真下に体を降ろしていく

灰色の雲が空を覆い、か細い日光が差し込む
天高くそびえ立つ塔が4つ建ち並び、窓からは煙を発している

ヒルトは塔の中心に位置する石畳の橋に降り立ち、周囲を見渡した
「ここがジェイクとローランさんがいる場所なのか」
「異空間っていうより、術者が作り上げた結界に近い構造ね
日光や煙、この石畳も現実にあるものと変わらないわ。
完全な異空間なら現実には無いものが存在するはずよ」

アランはインドリームの力を使用し、小さな水滴を造り出す
水滴に日光が差し込み、周囲の煙を映し出した後に地面に堕とすと水滴は石に染み込み消えていく

「本当だ・・石の性質もほとんど本物だよ
現実に無い石なら水は吸い込まないはずだよね」
水滴が落ちた場所をしゃがんで見つめながら話すイリヤ
初見で異変を感じ取る仲間を前に、ヒルトは恥ずかしがりながら詳細の説明を求める
「えっと、俺は異空間と結界の違いとか構造について詳しくないんだ
だから、詳しく教えてほしい」

左手で後頭部をさすりながら、苦笑いの表情で質問を投げかける
「・・え、まじ?」

呆気にとられるアランに、隣で咳払いをして前に出てすぐに口を開くユリエフ
「えーっとですね、ヒルト君
異空間と結界の大きな違いは、現実に存在する物があるか、無いか、です。
異空間とは次元が違う場所の事を指しますから、闇の神が創りだした監獄が代表的でしょう
ですが、結界とは人間種でも作り出せるオリジナルの閉ざされた空間であり、破滅の鐘がクライヴ君を飛ばした場所や、ここのように現実に存在する物が多くあるのが特徴です
もしここが完全な異空間であれば、アランさんの水滴に日光は入りませんし、石が水を吸い込む等、現実と同じ事象は発生しないのです」

「なるほど
じゃあここは結界と言えるのか?」
「いえ、断言はできません
なぜなら、クライヴ君が異空間を渡る為のゲートを渡ってたどり着いたからです」



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