第13章 青い炎
「血の気が多いね、ローラン先生
らしくないよ?」
「僕の患者に手を出すな!」
「患者ぁ?
捨て駒の間違いでしょ!
あれは僕達と同じ殺人鬼だ。
まぁ、使えない殺人鬼だったから任務中に斬り捨てたんだけどな」
結界の壁越しに顔をすれすれに近づけて、心の底から中傷したコズモはアンリの事であざ笑い、ローランへ挑発を続ける
「まさか、君が彼女を?」
食いついたーーー
コズモは餌に食いついた獲物をすぐにでも仕留めたい気持ちを抑えつつ、更に罠場へ追い込む
「彼女は戦士として前線で戦っていて、火族の上層部から才能があると評価され、僕の部下になったことがある
戦術、武術、工学、暗学等は僕も評価したが・・・
それ以上は何もなかった。
つまり、成長しなかった」
「成長しなかっただと?」
「そう。
生き物には其々限界がある
彼女が僕の元に来た時、もう完成していた。
だから、これ以上教えて訓練しても成長しないし、廃れていくだけだと感じ、彼女を餌として使うことにした」
アンリを餌にした
それはアンリと出会った頃の状況を鮮明に覚えているローランにとってみれば、何があったかおおよその予想はついた
「あの日の夜の任務は真冬で、早急に終わらせる必要があったんだ
対象の豪族は性癖が酷くてねー・・・
成人した女性じゃなくて、10代の少女にしか欲情しなかった
だからアンリを身寄りのない孤児に見せかけ、その豪族が手をつけやすい所に置かせたんだ」
「・・・やめろ」
「やめないよ。
君がその体に隠している秘密を話すまではね。
結局、アンリは直ぐに豪族の館に連れていかれて、毎晩体を弄られては狂ってたねー
よっぽど相性が良かったのかな、豪族はアンリに夢中になって獣みたいにイカれた夜を過ごしてたさ。」
「黙れコズモ!」
歯を食いしばり、ローランは怒りを露わにする
それでも口を止めようとしないコズモ
最後の一手へ進める
「結局そうなったお陰で僕たちの任務は完了したし、アンリも豪族も必要ないから皆殺しにしようとしたんだ
そしたらさぁ、あの豪族、何をしたと思う?
自分の家族や部下を見殺しにして、裸体でアンリを連れて逃げ出したんだ!
ばっかだよねぇー、真冬の夜に裸で逃げれると思ったのかな
あっははは!」
高らかに笑うコズモの声は一段と響く