第2章 風を司る者
背後からは銀色の光を放つ弓がクライヴに向けられ
目の前では黒く禍々しい魔力を放つ大鎌の刃が、ヒルト・・いや、ヒルトの背後にいる女性へ向けられた
「天族が何故ここにいる」
「・・それはこちらのセリフです。
何故、闇堕ちの貴方がインドリームと行動を?」
クライヴと女性の間に張り詰めた空気が漂う
だが、ヒルトが割り込み、武器を下ろすように言った
女性とクライヴは双方睨み合いながら
渋々、ヒルトの言う通りにする
「なんでお互い、武器を構えるんだ?!」
「そいつが天族だからだ。
天族は好んで闇堕ちを狩る、俺の敵だ。」
「お言葉ですが、快楽という汚れた悪趣味で人を殺す者から、人々を救っているのです。
貴方と同じ様に扱わないでください。」
ヒルトを挟み、両者は憎悪と嫌悪に満ちた表情で言い合う
「だから、それがなんだっていってるんだよ!」
ヒルトが叫ぶ様に反論する
「種族間の問題やレッテルは、ここでは関係ない!
俺たちはインドリームだ!
世界を救う為に旅をしているのに、そんな小さな問題でつまずいてはいられない!」
「・・・ヒルト、だが俺は」
「わかりました。」
ヒルトの意見に身を下げる女性
「私の個人的な感情と偏見で場を乱してしまい、申し訳ありません。」
「そ、そんな頭下げるなよ」
「いえ、同じインドリームとして
大変恥ずかしいです。」
頭を軽く下げてから女性はすぐに姿勢を正し、フードを脱ぎ、全身をしっかりヒルトとクライヴに見せて話す
「私の名はユリエフ・フォン・ガルシウス。
光を司るインドリームとして、是非、共に旅をさせてください。」
「大丈夫、そんなかしこまらなくても、俺は大賛成だ!
それに、インドリームなのは会ってすぐに気づいたよ」
微笑むヒルトに、ユリエフはきょとんと目を見開き、言葉につまらせた
「俺と少しだけ似てる魔力を感じてさ。
だから、多分インドリームなんだと感じたんだ。」
「流石です・・
私を助けてくださったのは、インドリームだと気づいて?」
「いや、ユリエフが町の男たちに囲まれているのを最初に発見し、教えてくれたのはクライヴなんだ。
だから、お礼をいうならクライヴにしてくれ」
ユリエフは少し驚いた目をしてクライヴを見つめる
そして、手を差し出す