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IN DREAM2

第13章 青い炎




「お前の本物の肉体はホルマリン漬けにされてるし、異界から戻した魂は死体に戻せねぇのよ。
だから、生きてる人間に宿らせてすこーしずつお前の魂で侵食させていく必要があったわけ。」

「・・なら、俺のこの体は他人のものだってことか?
この蛆虫と溶けた肉体は腐ってきてるってことかよ」
「そうだ。
だからこそ、お前は人として捨てて新しく生まれ変わる必要がある
まずは、これを受け入れろ」

ヴァンが俺に差し出したのは漆黒の水晶だった
拳に収まるサイズの水晶からは闇が吹き荒れ、俺でも危険な代物だとわかった

「俺は損得を考えて動くぜ、アドラ・ベルグマン。
この水晶を胸に押し込めばお前の肉体は闇に染まるが、腐食を防ぎ、新たな力を手に入れる事ができる」
「その代わり、二度と人としては生きていけず、魂も全て魔族化するのか」
「その通り。
安心しろ、これを入れた直後に闇に堕ちて暴走するなんてねぇからよ。
この水晶は試作品だが、所有者の闇をコントロールしながら底なしの力を与えることができる
そして、所有者が望めば更なる力を与えてくれる
勿論、代償はつきものだがな。」

力を得るには代償が発生する
それは俺の生きる世界では常識だ
そして、生きるには何かを食らう必要があるのも当たり前のこと。

「選択なんてないんだ
俺が生きるにはこれしかない」

俺はヴァンから水晶を取り上げ、勢いよく胸に突き刺す

ドクンッ

心臓の脈とは別の鼓動が脳の奥まで響いた

だが、それ以外に変わった様子はなかった

「・・・?
これでいいのか?」
「あぁ!
成功だな、おねでとうアドラ
代わりにお前の今の肉体が何で造ったのかということと、これからどうすればいいか教えてやる」

ヴァンが最初に教えたのは、俺の今肉体と蘇生するためにどのような過程があったからだ
あいつは右足のつま先を地面に軽く当てると、一人の男が死風の暗殺部隊に惨殺され、その肉体が魔術によって異界へ送られる光景を見せた
惨殺された男は見覚えがある
かつて死風の暗殺部隊長として活躍していたバリスタン・レジオルだ

「俺の肉体はバリスタンさんので造ったのか」

「そうよアドラ。
皆、あの男より貴方に従うべきだと信じていたわ」
俺に声をかえたのは呪術と結界術に長けた法術師のキミ・ミズエだ


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