第13章 青い炎
「また、か。
お前がしるジェイクはしばらく表に出てこない
そうお前が仕向けたからな」
「なに?」
別人格者である男は俺にジェイクの過去を話した
なぜ過去に俺だけが空っぽにされ、生きていたのか
ジェイクは何を犠牲にしたのか
この儀式の真の目的
そして、俺が知るジェイクが完全に戻ってくることはもう、ないのだと。
聞かされれば聞く程思い出してくる
奪われた過去の記憶
遠い昔、暖かい家族がいたこと
そいつらを俺の目の前で殺したジェイクの姿を。
「っ・・クソがぁぁぁぁぁ!!」
「よく吠えるな
まだ元気が残っていてよかったぜ」
ジェイクは俺の首を絞めつけ、異界送りの術を発動させるために呪文を唱える
その隣では炎のインドリームが意識を失って倒れていた
「今からお前はあの世へ飛ばされ、俺は新のインドリームになる」
「!」
「アドラ、口調がこんなのだからわからないだろうけど
これは俺、ジェイク・バルシウスだぜ」
僅かに、俺が知るジェイクの口調、声のトーンに戻った
「必ず、お前を救いに来るから。
それまでの辛抱だ」
涙目になりながら、ジェイクは異界送りの術を発動させ、俺を検討もつかない異次元へ飛ばした
俺の魂が異空間へ飛ばされる代償として、ジェイクは俺の分の生命力を保持でき、炎のインドリームの力を剥奪し、皮を剥ぎ取って肉体を変化していった
すぐに俺の意識は暗闇の中へ消えあり、無音に包まれた
炎のインドリームが激痛に悶え苦しむ声はすぐに止み、何も感じない異空間に魂のみが放り出された
「そうか・・・俺はこのまま闇に消えるんだな」
一人つぶやき、虚無の世界に包まれている中
初めて聞いた男の声がまるで耳元でささやくように響いた
「ここから出してやるよ」
「え?」
「お前に自由と、新しい能力をやるって言ってんだ」
「あんたは?」
「俺か?
俺は―――――」
すぐに視界は真っ白になり、目を開ける仕草ができた
薄暗い洞窟の中、大柄で両足が義足の男が俺に手を差し伸べた
「おはよう、アドラ」
「・・・あんたは?」
「俺は火族の元、元帥のヴァンだ
今じゃ亡霊扱いされているだろうが、そこんとこはお前と同じと言えるな」
ヴァンの説明がなければ、直ぐに現状が理解できなかった
洞窟の奥へ進めば全身返り血で浴びた死風の暗殺部隊が待ち構えていた
どれも俺が知っている姿より成長している
