第13章 青い炎
全ての食事を終えたゴカイはナバルトの腕の中に戻る
力を使用した代償として、ナバルトは全身にヨルムンガンドの呪印が伸び切り、爪の付け根から魚の鱗が生え始めた
「くくく・・私もそう長くはない」
「・・・ナバルトさん
俺の記憶は完全に戻っていない
それに消しておくべき俺の過去を、なぜ教えたんですか」
「フッ、なぜだろうな
それは君が探すことだろう
私は仕事をしたまでだ」
「これも火族の任務だと?
もしや、俺とジェイクで炎のインドリームの力を奪うということは表向きで」
「いいや、それは本当だ
だが、それと並行して進めるべきことがあってな
私はその架け橋役ということだ」
ナバルトはそれ以上俺に話すことはなかった
乱れた服と整え、黙ってジェイクの帰りを待ち、帰ってくるまでの数時間考えていた
ナバルトが言っていたことは全て真実なのか
そうだとすれば、ジェイクは何を犠牲にしたのか
命以上に差し出せるものがあったのか
それに、俺をこうまでして生かした理由はなんだ
俺は何のために生かされている
火族達は何を考えているんだ
それに、このことは俺以外全員知っているのか
知っていて、俺を騙していたのか
俺には、どんな家族がいたんだ
なぜ家族を殺してまで俺を駒にしたてあげた
答えの見えない疑問が渦巻く中、炎は消えてゆき、そこから血まみれのジェイクが姿を現した
その右手には意識を失っている赤髪の少年が引きづられている
「ジェイク、そいつまさか」
「あぁ、炎のインドリームだ」
「?!
まさか、あの炎の中で勝ったのか」
「少し時間かかったけどな
これで強欲の剥奪の儀式ができるな、アドラ」
「あ、あぁ・・・」
俺は返り血を浴びながら笑顔を向けるジェイクを疑った
こいつが何を考えているか、わからなかったし、俺を騙していた嫌悪感が芽生えていたからだ
ジェイクは俺の不自然な表情に目が止まり、心配そうな表情で見つめる
だが、その目の前にナバルトが立ちふさがり、ジェイクの頭を撫でた
「さすがだ、ジェイク・バルシウス
君ならこの炎を鎮火し、奴を引きずり出せると信じていた」
「・・ありがとうございます」
「さて、儀式をするのは明日の深夜0時だ
それまでインドリームは私が預かろう」