第13章 青い炎
「お前とジェイクは過去、重罪を侵している。」
「重罪・・?!」
「お前とジェイクは火族の上層部、族長までも手にかけて殺めようとしたのだ
インドリームに近い存在だったジェイクには手こずったが、お前のように何の能力も持っていない駒はすぐに抑え込むことができた」
「なんの・・話をしている」
俺はナバルトの話が頭の中に入ってこなかった
両目から走る激痛が全てをもみ消しにしているのではない
聞きたくないという意思があったからだ
「俺は・・・幼初期の頃から火族の暗殺部隊の隊員として育てられ、家族もいないはずだ!」
「それが偽の記憶とまだわからんか」
「えっ」
「お前とジェイクは終身刑に処するはずだったが、ジェイクがお前の記憶を消し、心を消すことで改めて火族の駒として使用できると我々に申し立てた」
――――ジェイクが俺の記憶を消した、だと?――――
頭の中が真っ白になった
そうだ、なんで気付かなかったんだ
火族が記憶を消す時、消した主犯格に接触しなければ記憶がよみがえることはない
俺が今まで死風の暗殺部隊として過ごせていたのは、ジェイクと接触していなかったから。
けど、この任務で共にしてから俺の記憶が蘇り、友になりたいとまで心が戻った瞬間があった
全ては、ジェイクが俺の記憶を消さなければ発生しない事象だかり
「お前の犯した罪を帳消しにするため、ジェイクはお前の記憶と心を消し去り、家族を殺した。
そうすることでお前を生まれ変えようとしたのだ」
「な・・んで・・・
なら、あいつは何を犠牲にしたんだ!」
「それは本人に聞いてみるといい」
ナバルトは俺の口に片手を突っ込み、喉の奥で術式を発動させた
「我が身に宿りしヨルムンガンドに命ずる
この者の一部となり、契りを破った暁にこの者の喉を食い殺せ」
「!?」
すぐに術が発動し、俺は喉の奥で巨大なヘビがうねる感触が伝わった
「お゛えっ!!」
俺の口から手を抜きとったナバルトはすぐに治癒薬をふりかけ、失明した両目を回復させる
「眷属どもよ、地を這い、一滴残らず血肉をすすれ」
ナバルトの両手は水のように溶け、滴り堕ちる水は地面に落ちるとゴカイと姿を変え、転がっている俺の眼球や肉片、血をすべて吸い尽くす