第4章 新たな仲間
呆れるクライヴに、ヒルトはまったく何を言っているのかわからず、口が空いたまま止まる
「あの近距離で闇の力を使えば、多少なりとも影響が出る者がいる。
天族が闇に敏感であり、一度嫌悪感を抱くと面倒なのはわかっているだろ
それでもお前は、あの瞬間で闇の力を使うべきであったと、俺に言うのか?」
「あっーーー」
すべて理解し、理解し終わった時には失敗したと言いたそうな表情であった
クライヴはユリエフから聖人として敵視されることは避けたいのだ
聖人が一度でも対象を敵と認知すれば、それは呪いのように
死ぬまで追いつくし、灰になり消え去るまで執着に攻撃を繰り返す
それこそが聖人の嵯峨であり、心に闇を持たない純粋な光の存在であるからこその感情
理性では抑えることができないモノである
インドリームとしてこれから先を共にしなければならない仲であるからこそ、より慎重に対応していく必要があったのだ
「ヒルト君」
腕が完治したクライヴに、特に目を向けることなく
ユリエフはヒルトをまっすぐ見つめ、呼んだ
「ここは遺跡・・土族の作った要塞の中と思われます」
周囲には円卓に広がる岩で作られた壁
唐突に出るいるところには小さな穴がいくつも作られ
手前には神殿の柱のような物が建てられているが
数本はヒビが入っている
足元は砂一面で広がり、要塞とは程遠い内装だった
「けどユリエフ、ここは本当に要塞なのか?
まるで人間が生活していたような建物があるし
あの柱から考えると俺たちが立っている場所は
神殿じゃないのか?」
「おそらく、過去に土族の族が作り上げた地下遺跡であり
暗黒戦争時代、領土を無くした民達が逃げ、生活していた要塞だと思います。
彼等は入口に囮とゴーレムを仕掛け、侵入者を決して入れないようにしていたのでしょう・・
暗黒戦争が終結した後、この要塞を捨て、元の場所へ戻ったのです」
悲しそうな表情と、暗い瞳で話すユリエフ