第12章 炎の意志
「いや、そんな面倒なことはする必要ない
近くに風族がいるんだ
そうだろ、ジェイク?」
「!
・・あ、あぁ
インドリームの風を司るやつがいる
名はヒルト・クローズ、一様インドリームのリーダーだ」
突然降られたヒルトの話題にジェイク
それでも躊躇なくヒルトの名をあげる
「フッ、おもしれぇじゃねぇか
インドリームと火族最強の俺たち、どっちが強いかはっきりさせてやるよ」
「バザン兄さん待ってよ
みんなでこぞってインドリームと戦う必要ある?
そんな非合理的なことをするより、奴らの弱みや対応方法を知っているジェイクに向かわせばいい。
そうだよね、アドラ」
「さすが火族随一の諜報員、コズモだ
そう、俺はジェイクにインドリームをぶつけさせるつもりだ」
「・・・・本気かよ。」
信じられないことを淡々と話すアドラ
ジェイクは心にしまっていた不満が爆発しかけていた
過去、任務の途中で自分の失敗のせいでアドラがこの世から消され、二度と出会うことができないと思っていた
それでも火族として任務を遂行し、インドリームに成りすましてスパイ活動し、多重化していく己の人格を抑えながら過ごしていた
全ては、アドラへの贖罪、罪悪感からの行動だ
だが、実際アドラは生きており、現世に帰還した
闇の力を身に着け、ヴァンとつながった状態でだ
そしていつの間にか死風の暗殺部隊を束ねる隊長となっていた
アドラが帰還したことは心から嬉しい
だが、そこにいたのは自分が知っているアドラではなかったのだ
ジェイクの多重人格化を知っていても、都合の良い人格だけを選び、呪術で故意に人格を操作させてくる
自由意志など一切ない
ローランを襲わせた際も、火族としてのジェイクを使役しただけであり、葛藤するジェイクのことを気にもしなかった
ついにはインドリームとジェイクを戦わせると発言した
つまりそれは、インドリームと戦って死ねと言っているに等しい
「俺一人で戦って、どれくらい時間稼ぎになるかわからいぞ?」
「気にするな、極限まで戦ってはもらうが、死ぬまでしろなんて言わない
危険だと判断すれば、他の奴と交代させ、インドリームにとどめをさす」
「・・・囮ってことか
なぁアドラ、インドリームと一緒にいる闇堕ち、クライヴ・ベネディクトのことは知ってるか?
あいつの力は危険だぞ」
「あぁ知ってるさ」