第12章 炎の意志
「ははははっ!
言うじゃねえか!
口で言ってわからないなら、お前の力で俺の過去と、お前の過去を見せておけよ」
「もちろんです」
アドラの力ーーーー
そんなものはないはずだ
ジェイクは心の中で抱く一言を噛みこらえながら黙り込む
アドラは火族の中で特殊な能力等持ってはいない
ただ、常人よりも吸収力と成長速度が速かった
それ故に数年かかって取得できる技を、数日で使いこなす
それでも、他人の過去を見せるなど出来はしない
では、ヴァンが言う能力とは一体何なのか
答えは、すぐにわかった
「闇よ、我が身に宿れ」
アドラの一言に呼応し、異空間から闇が湧き上がりる
「アドラ・・その力・・お前まさか!」
「見ての通り、闇の力だ。
俺はな、ジェイク
異界に送られてから魔族になって帰って来たんだ」
「いや、それじゃあわからねぇ!
わかるように説明してくれ!」
「そんなムキになるなよ
大丈夫だって!
この男からインドリームの力を全て取り出して、俺が真のインドリームになれば全て解決する
こんな闇の力なんてただの借り物だよ」
「っ・・その借り物の力が危険すぎるんだよ!
インドリームとして潜入してるとき、闇の力に染まった奴を側で見てきた
一度でも闇に近づけば二度と戻らないんだぞ!?」
「あぁ。
だからこの部隊全員を呼んだんだ」
「え?」
アドラは闇を凝縮し、足元に転がっている男の周囲へ地面へ刺していく
闇の監獄を作り上げ、宙へ持ち上げていく
「こいつの名はローラン・イレネオ
どういう経緯があったかは不明だが、インドリームの魔力を持っている器だ
火族と風族のハーフだが、医者としてカレッツア街に滞在している」
「街に滞在している部下からの情報だと、護衛で火族の捨て駒が一人ついているようだけど、そいつはどうしたの?
もしかして、殺しちゃった?」
鼻で笑いながら質問をなげかけたコズモに続き、キミもが話す
「アドラその男から魔力をはぎ取るには風族の力が必要でしょう?
風族は保有しているエレメンツの特徴から他者の魔力移植などもできる唯一の種族
だが奴らは暗黒戦争で大幅に数を減らし、今は姿を隠し、領土も持たず旅をしているようじゃない
今からあたし達で探して来いってこと?」