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IN DREAM2

第12章 炎の意志




アドラの発言に顔色が青ざめ、硬直するジェイクに対し、
対となる場所から拍手が聞こえた

「素晴らしいわねぇ」

長い茶髪の上部で束ね、彼岸花を模した髪飾りをつけた着物を着た女性は歓喜の声を上げる
あえて着物をずらして着ているせいで、露出した雪のように白い肌が一際目立つ
丸々とした赤い瞳はまっすぐにアドラを見つめられていた
だが次にジェイクに向けた時、狐のように細く睨みつける
「ではアドラ、こいつをここで殺す?
そしてインドリームの力を剥ぎ取ればいいわよね」
呪符を数枚取り出し、女性は魔力を使い、呪符を浮かせていく
完全にジェイクに向ける殺意

だがアドラは真逆の反応を見せる

「キミさん、武器を下ろしてくれ
ジェイクは俺の大切な友達なんだよ」

キミと呼ばれた女性は浮かせた呪符を衣服の中に納め、黙り込む

キミ・ミズエーーーーー
彼女は死風の暗殺部隊で呪術と結界術に長けた法術師
暗殺部隊の中で三兄妹の次に歴がある
それでもアドラの言う通りにするのは単にリーダーへの服従心ではなく、特別な感情を寄せていたからだ

それでもアドラの友であるジェイクに敵意を向けるのは
過去に起こった異界送り事件の原因がジェイクにあるからだろう
「・・・」
罪悪を感じるジェイクはキミと目を合わせなかった



異界送りの事件ーーー
それは10年前に遡る

暗黒戦争が勃発する数カ月前
火族はどの種族よりも早く、インドリームの誕生に目を配っていた
世界が闇に飲まれる時、夢を力に変える能力者が各種族から誕生する
それは世界の理の一環であり、覆ることはない
闇に飲まれるとは、いわゆる混沌を意味する
そうなれば暗黒戦争が発生する前後に、必ずインドリームは誕生する
そして、実際に存在した

最初にインドリームとして目覚めた少年の名は、ヒエン・ストラグス
火族の戦闘部隊の隊員であり、暗黒戦争では前線に立つ予定だった一般兵だ
そんな彼が何をきっかけにインドリームとなったのか
他の種族であれば考慮するだろうが、火族にとってそんなことはどうでもよかった

当時、闇族に国家レベルで雇われていた火族は、インドリームの力を意図的に別の存在へ移す実験を繰り返し行い、その成果を闇族に報告しなければならなかった

多額の資金と技術、領土、快楽を報酬に、火族は闇族の指示のままに動く契約を交わしていた







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