第12章 炎の意志
やっとまともなことが聞けた
そうジェイクを思わせたのは長男のバザンだ
「この先の塔に行けば他の奴らも集まってるはずだ
そこにアドラもいる・・あいつなら俺たち死風の暗殺部隊全員を集めた本当の理由を教えてくれるだろうな」
真紅のローブをなびかせ、もたれていた姿勢を建て直してバザンは先に歩き始める
「ジェイク、もちろんお前も知りたいだろ?
あの事件、〝異界送り”で行方不明になったアドラがどうやって生き残り、そして俺たちを束ねるリーダーになれたのか。」
「・・・もちろんだ」
「だったら、ぐずぐずしてないで足動かせ
こうしている間にも時間は過ぎていくんだぜ」
「・・・・。」
バザンの言う通りにアドラが待つ管理棟へ進むジェイク
目の間に巨人でも入れる程の鉄の巨大な扉が立ちふさがり、薄く輝く炎の鳥が浮かび上がる
火族の紋章でも使用される伝説の不死鳥をモチーフにした魔術の結界
それを解き、扉を開けるには不死鳥の炎を全身浴び、己が間違いなく火族のこの扉を通過するに相当する存在であることを証明する必要がある
常人であれば焼き尽くされる炎がバザン、ビーチェ、コズモ、ジェイクを覆っていく
だが、誰一人とも声を上げず、瞬きすらしないのは間違いなく火族の死風の暗殺部隊である証拠だ
「―――認識した」
不死鳥は一言つぶやき、姿を消したのと同時に四人を扉の奥の部屋へ転移させた
「待ってたぜ」
次に目を開いたそこには、円卓を囲むように炎の石台が創られており、それぞれに死風の暗殺部隊の仲間達が立っていた
そして、ジェイクもいつの間にかその場に立ち、声がした方背目を向ける
そこには長い階段に腰を下ろし、自身に満ちた表情のアドラだ
「今日、この場所にお前達呼び寄せたのは、この世界の仕組みを変える大きなきっかけを俺たちで作りことになるからだ」
「ソレハ一体、何?」
機械とかすれた人の声が混ざったそれは、ジェイクの隣から発せられた
闇の黒衣とフードを被り、猫背の四つ足生物
フードの中からは3つ赤い光が揺らめき、両腕両足は獣のような強靭な爪がむき出しになり、サソリの尻尾を横にゆっくりと振る存在
「零式、それを今から話すんだよ」
「・・・。」
アドラは黒衣の生命体の名前で呼び、深く深呼吸する
「これより、俺が炎のインドリームとして正式継承者となる!」
「?!!」