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IN DREAM2

第12章 炎の意志




ユリエフの問いに誰も答える事なく、静寂が流れる

しばらく様子を見続けていくと、ラルザの肉体が朽ち果てていき
足や腕が腐敗し、魔力が漏れ出していく

「ーーークライヴ様、抜き終わりました」

ラルザはヒルトから離れ、フラつく脚を曲げてクライヴに対面になって頭を下げて跪く
元々ライアンの死体から作り上げた仮の肉体は、ガウンの結界をやぶるためにアークが先に使用しており、その後にラルザが交代する形で憑依していたせいもあり、闇の力を使えば耐久制度は落ちるのだった
そしてヒルトの毒を引き受けたことで、肉体は完全に機能を失って本来の死体へ戻っていってしまう状況だ
息をしながは肉体が腐り果て、剥がれ落ちていく苦痛を表情に出すことなく、ラルザはクライヴへ報告と詫びをしていた

「これでヒルト・クローズは一命は取り留めましたが、必ず解毒剤は必要になります。
火族であった私が解毒方法を知らず、大変申し訳ないございません
そして貴方様の体にも負担をかけてしまい・・」
「俺の体のことはいい。
お前の魂は俺の魔力と結合している
毒を吸えば俺の中に入るのは必然だ
そんなことより、力になってくれたことに感謝する」

頭を下げていたラルザの頬に手を添え、クライヴが優しく語る
同時にラルザの肉体は灰となって消え去り、魂はクライヴの中へ戻っていった


「クライヴ君・・貴方はラルザさんと一緒にヒルト君の毒を回収したのですね
肉体が回復する利点を生かして・・」
「再生治癒能力が備わっているのは俺だけだ
有効に活用する必要があるだろ」
「ですが、クライヴ君にもしもの事があっても、私の力では癒せません!
ですから毒を簡単に受け入れるなんて無茶な事はしないで下さい・・仲間なのに助けれないなんて・・私は嫌です」
「ーーーー」

クライヴは僅かに痺れる右手に力を入れ、毒の影響を感じながら掴んでいたユリエフの手を自身の胸に当てた

「ユリエフ、今、俺の鼓動は感じるか?」
「えっ、あ、はい」
「正常か?
それとも毒の影響で不規則な動きをしているか?」
人の心拍数と変わらず、心臓が脈を打ち、血を全身に運ぶ感覚は鮮明にユリエの手から伝わる
「何の問題もないように感じます」
不安気に話すユリエフに、クライヴは冷静に見つめ答える
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