第12章 炎の意志
「はは・・・そんな・・怖い殺気立てるなよ・・・クライヴ」
「・・・」
「はなから・・こうなる・・運命だったんだ
お前は破壊の化身・・俺は新たな戦いの・・使い捨ての・・駒・・。
どう足掻こうと・・避けられ・・ない」
汗を拭きながらジェイクはずっと後ずさりをし、ユリエフとクライヴから距離をとる
「どんな事情を持っているのかわかりませんが、運命でどうしようもないなんて決めつけないでください!
きっと他にも解決策はあります・・だからーーー」
「行かしてやってくれ、ユリエフ」
「ヒルト君?!」
蹲っていたヒルトはゆっくり立ち上がり、ボヤける視界の中でも必死に話す
傍に立っていたクライヴはヒルトに肩を貸し、体を支える
「ヒルト、無理はするな
今のお前は話すことも傷に響く」
「ありがとう、クライヴ」
「っ・・ヒルト・・・」
猛毒を仕込まれ、傷付けられ、裏切られたとしても
ヒルトの揺るがない瞳からは、ジェイクには理解できない光が宿っていた
「ジェイクが何度俺を殺しに来ようが、絶対に死んでやらないし、俺は必ず今のお前を苦しめてるものから救ってやる」
「ーーーー」
「何と思われようと、俺はジェイクを仲間だって信じてる
だから、俺達から離れたいって言うなら俺は止めない。」
「・・・・」
ヒルトを羨ましがるような表情を必死に隠し、ジェイクは俯きながら遺跡の頂上より飛び降り、廃墟の建物を乗り越えながら砂風の中に姿を消して行った
「もう・・大丈夫、だよな」
ヒルトはクライヴの肩からずれ落ち、その場で尻餅をつくように座り込む
「その痣・・毒をもられていたのか!」
「それにこの毒は火族だけが解毒方法を知るものです
このままにしておくと3日後にはヒルト君の全身の筋肉は硬化し、いずれ死んでしまいます」
「ちっ、ラルザ!」
クライヴの招集に直ぐに応えたラルザは
長髪の赤髪を1つに束ね、ヒルトの額や傷口に手を当てながら黙々と処置を取っていく
「申し訳ございません。
クライヴ様、この毒は火族のみが作れる猛毒です
現代の技術と知識で改造されているようで、古き時代の私が知る解毒剤の調合方法に該当するものがありません」