第12章 炎の意志
「破滅の道、ね。
俺は夢を叶えるために必要な道を選んだ
クライヴだって力を得るために大勢殺しては禁忌を犯し続け、そして最強の力を手に入れただろ
破滅の道を歩んだ結果、夢が叶っじゃねえか!」
「俺とお前は違う。
何度も言っているが、お前が見つめる背中は俺じゃない
本当に追うべき存在は、お前を最後まで仲間だと信じているインドリームだ」
クライヴの言葉に、ジェイクは言い返そうとした時
激痛が走り、額の呪印の色が薄れていく
「ぐっ!
こんな・・・時に・・てめぇ・・・が・・出やがって・・・!」
瞳から闇が消え去り、光が宿った瞬間
ジェイクから発せられていた魔力が変わった
「ジェイク君?」
息を切らし、大量の汗を流しながらジェイクはふらつく
「ーーーユリエフ、クライヴ・・」
掠れた小声で名前を呼ぶジェイクは先までの敵意は消え
虚ろな目をしていた
「さっきは・・悪かった・・・」
「何があったんですか?
まるで別人格のようですが」
「さっきのは別人なんかじゃない・・俺自身だ
少し、複雑な・・ん・・だ」
ジェイクは頭を抱えながらフラつく足でゆっくり立つ
「俺はもう・・今までのようには・・いかない
お前達から・・・離れなくちゃ・・いけない
一緒にいれば・・またヒルトを・・殺しかねない」
「ど、どこに行くつもりですか?!
問題を抱えているなら私達が力になります!
そのための仲間じゃないですか」
ユリエフは魔導弓を収め、ジェイクに近づこうと足を踏み出しながら話す
「来るな!
それ以上近づけば・・殺す!」
「っ」
「ユリエフ、今はジェイクの言う通りにしろ」
「ですが、クライヴ君!」
「これ以上暴れられるのは面倒だ
次にジェイクが襲いかかってこれば、俺は本気であいつを殺す。
ヒルトやお前のように手加減はできない」
ユリエフはクライヴに肩を抑えられ、今以上にジェイクに近づこうとはしなかった
これ以上近づけば、ジェイクが殺される
クライヴ自身の顔には出ていないが、心から滲み出る殺意はまっすぐにジェイクへむけられ、憎しみと憎悪で今にも心を埋め尽くしていたのだ。
聖人であるユリエフの心は純粋な光のみであり、
負の感情は体験したことないが、感じ取ることはできる
今のクライヴをこれ以上怒らせる事は
事態を悪くするだけだと、判断できた