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IN DREAM2

第12章 炎の意志




「っ!」

ヒルトが目を覚ました瞬間、そこは夢の中ではなく、ユリエフやライセイ、イリヤ、アランが眠る飛行船の寝室の中だった

「夢・・だったんだよな」

額から滝のように流れ出る汗を拭き取り、ヒルトはベットから立ち上がり外へ出る

飛行船が降り立った場所は星空が散りばめられた夜空と
一面砂の海である砂漠だった

夜の砂漠は星光だけで歩く必要があり、とても危険であるから
インドリームの誰も外には行かないことにしている
だが、ヒルトは高い場所で一つの炎が揺らめくのが見え、目を細めた
「あれは火?
もしかして・・ジェイク?」

炎を失わないようにヒルトは飛行船から降り立ち、風を纏いながら体を浮かせながら跡を追っていく
米粒のような炎は次第に大きくなり、それはジェイクの右手から出ている炎だとわかる
「ジェイク!」
ヒルトは確かに大きな声で仲間の名前を呼んだ
だが、相手からの反応はなく、炎を持ちながら砂漠の中を歩いて行き姿を消した
「!」

ヒルトは自信を纏っていた風を強め、急いで後を追ったが
たどり着いた先は廃れた赤い土壁で作られた廃墟の街が広がっていた

街の入口には二体の巨大な首なしの兵士の銅像が向かい合わせに建てられており、右手には剣、左手には旗を握り、旗には火族の言語と国旗が刻まれている
ヒルトはここにはかつて、火族が住んでいたのだとすぐに理解した
戦を好む火族だからこそ住んでいた故郷が潰れてしまうのは珍しくない
街の奥へ進むと一つの巨大なピラミッド型の碑石があり、その頂上にジェイクが歩いて行っていた

ヒルトはすぐにジェイクの後を追い、碑石の頂上へ足を踏み入れる

「ジェイク、やっと追いついた
こんな所で何してるんだよ?」

暗い夜空を見上げながら、成人が一人寝転べる程の大きさの石の台に腰を落として座り込んでいるジェイクは
隣で立ちながら声をかけたヒルトに目を向けることなく、静かに口を開いた

「ヒルト、お前はすごいよ」
「え?」
「魔族や人間や天族・・どんな種族も関係なく皆が夢を持って支え合う世界を作る事がヒルトの夢なんだろ?
俺はそんな綺麗な夢を持てるお前が凄いなって思ったんだ
この前のフランシスさんやポーラル町の住民全員に演説した内容が、俺には思いつかない内容だった」
「綺麗だなんて言ってもらえて嬉しいよ
けど、ジェイクにだって夢はあるだろ?」
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