• テキストサイズ

IN DREAM2

第12章 炎の意志



炎が巻き起こり、燃え盛る街の中、人々は逃げ惑う
灰で覆われた空と黒煙が空気中の酸素を濁している

「あれ・・?
ここは・・?」

ヒルトは虚ろな意識で周囲を見回す
体は動くが、感覚がない

「そっか、これは夢か」

自身が夢を見ている事に気付き、周囲の異様な様子でもどこか落ち着く
だが見た事もない光景で人が炎に燃やされ死んでいき、中には闇族も混ざっていた
街の住人と闇族が争って出た犠牲者ではない
明らかに第三者に傷つけられた状況であり、ヒルトは冷静に考える

「俺の記憶から出来た唯の夢じゃない
それにこの炎、自然に発生したものじゃなさそうだな」

夢の中なのに燃え盛る業火の奥から異様な魔力を感じたヒルト
意識を集中させ、その正体を突き止めるために唾を飲みこんで確かめる

赤く燃える炎を両手で掻き分けるようにしながら進む

足元には黒く丸焦げになった人だったモノが何体も転がり
異様な魔力に近づくたびに数は増える
夢のせいか鮮明に見えないが、その黒く焦げた死体の中でまだ息をしている者もいたように見えた
込み上げる恐怖を押し殺し、ヒルトが先に進むと
そこは更なる地獄が繰り広げられていた

3メートル程ある串に刺さり、死体がぶら下がり
生首が無数に転がっている
首なしの死体の山が積み上げられている頂上で立っているのは
見慣れた姿の面影がある青年であり、全身が返り血で真っ赤に染まっている
その殺戮で染まった右手で掴まれているのは、同じ歳ほどの別の少年だ

青色の短髪で意識を失っているその少年の首を右手で締め上げ、
息を止めようと殺意をあらわにする

「ダメだっ・・ジェイク!」

ヒルトは手を伸ばし、青年の名を呼ぶ
こちらに目を向けはするが、夢の中の返り血を浴びたジェイクは反応を示さず、ヒルトの足元から炎の柱を出現させ、その体を燃やしていく
「?!」
夢のせいで痛覚はない
その代わり意識が薄れていき、ヒルトは夢の中で悲しみに溺れていく
「だめ・・だ・・ジェイク・・」
視界がボヤけ、炎に飲まれながら見えたのは炎がジェイクを守るように周囲で渦を描き、敵意を持つ存在を焼き尽くしていく姿だった

/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp