第3章 半魔
閃光を放ったのはマーベルだった
「だめではないか、マティウス、君は私に忠義をつくすはずだろ?」
銃口をマティウスへ向け、マーベルは冷静に話すも、その表情は黒く、闇が満ちていた
「っ・・」
焦るように身構えるマティウス
その前にエリンシエが立ち、両手を広げ、マティウスをかばうように立ちふさがる
「もうやめて、先生!」
「エリンシエ」
「兄さんも私たちも、貴方の道具なんかじゃないんです!
なたの理想が異なっているとわかった今、もう協力もできません」
「エリンシエ・・お前・・」
「大丈夫、マティウス兄さん。
もう、一人にさせないから。」
「・・・・」
不安げにするマティウスに、エリンシエは振り向かずに答えた
返す言葉もないマティウスはただひたすらだまり、何もできなかった
張り詰めた空気を見守るヒルトにユリエフが駆け寄ってくる
「大丈夫でしたか、ヒルト君?」
「ああ、ユリエフのおかげでなんとか避けれた・・けど、あのマーベルって男は何者なんだ」
「彼は元、巡礼師、聖なる教えを広め、人を救うことを生業としていました。
ですが、何者かのそそのきと裏切りによって道を踏み外し、今は永遠の命を求めるようになってしまった・・・哀れな存在です。」
マーベルを切り捨てるかのように話すユリエフ
「私は彼に聞かなければいけない事があるんです」
「聞かなければいけない事?」
「ええ、彼に永遠の命を教えたのが、天族の可能性があります。
天族がこのような事をしているとなれば重罪になり、天界で過ごすことなど許されないのですから、私は聖人として突き止める必要があります」
「わかった、その件はユリエフに任せる」
「ふふふ・・任せるだと?
私もなめられているな」
マーベルは失笑し、銃口を自らの頭にむけ、躊躇なく撃った