第11章 破滅の鐘
「そう、だな・・けど、俺はいつかクライヴだって大切な仲間であることを世界中の人に知ってほしい
そして闇堕ちだからって危険視するような世界になんてさせない」
「・・・前から気になってましたが、ヒルト君は魔族を倒す面と闇堕ちや半魔を救う面の両方を持たれているのはどうしてでしょうか?
私だって全ての闇堕ちや半魔が悪だとは思いません
ですがヒルト君程、感情移入はできないんです。
それにクライヴ君のことをしきりに気にされてるようですし。」
冷静な表情で疑問が消えないユリエフに
ヒルトは目立たないように言葉を返した
「俺、暗黒戦争の後に闇堕ちやまだ意志が残ってた魔族に助けられたんだ」
「!?」
「その人達との話はまた今度するけど、俺にとってみれば
闇堕ちだろうと魔族だろうと、半魔だろうと関係ないんだ
たった一つの命であり、皆んなが夢に向かって生きること以上に素敵なことはないって思ってる。」
「夢に向かって、ですか」
「あぁ。
夢は力の源であり、全ての起源だ
それを自己中心的に相手の夢を踏みにじったり、壊す事が俺にとってみれば耐えられない。
だから俺はインドリームになった時に誓った
必ず光と闇が均衡に保たれ、皆が夢を持てる世界にしようってな」
「ーーーー」
「それにクライヴは命の恩人だ
何もわかってなかった時の俺を沢山助けてくれた
何度も暴走した魔族に殺されかけた俺を、あいつを身を呈して庇ってくれたんだ」
「それで心配するんですね」
ユリエフの言葉に、ヒルトは口を開く事なく同調し、頷く
「いいんじゃないか、ヒルトのその夢。
俺はかっこいいと思うぜ」
ユリエフの隣で立っていたジェイクは軽く微笑みを見せながら話した
「夢を持ち、自由に生きていく世界なんて綺麗じゃないか
俺だってそんな世界に憧れる。
それに見ろよ、世界を混沌から救う力・・インドリームの力でこの街は自由を手に入れ、夢を実現できた
フランシスさんが演説する時だって、簡素な木材で作ったのは一般市民と大差をつけないためだ
そのおかげで市民は距離を感じることなく自警団と団結できてるだろ」
ジェイクが見つめる先にはフランシスの演説を聞きながら
目に光を宿し、希望を持った人々の眼差しがある
だが、その姿を見つめていたジェイクの瞳は光を宿していなかった