第11章 破滅の鐘
「フランシスさんー!」
「?!」
扉の奥から聞こえてくる声
それは駆け走ってきたジェイク
そして続く足音はヒルトとユリエフのものだった
そして青年はニヤリと笑い、フランシスの手を覆う炎を消した
「きたな、偽物」
フランシスを呼ぶジェイクの声とまったく同じ声を使い、言葉を放つ青年
クライヴは先から感じる違和感の正体が何だったのかすぐにわかった
「お前、何者だ?
なぜジェイクと同じ声で話す!?」
「俺もあいつも原点は同じだからな
違うのは見た目だけであって、根っからは変わりない。
力も、肉体もな・・」
「なんだと?」
敵意を見せるクライヴの殺気に、青年は両手を上げながら話す
「今は戦うつもりはない
大いなる目的を達成するには、必ず順序があるからな」
「・・・」
青年は一歩づつ後ずさりし、足元から湧く青い炎の中に姿を消していく
ジェイクの足音が近づいて行く中、クライヴは青年を追うか否か迷いがあった
道の敵の懐の中に飛び込むのは無謀であり、愚かな行為だ
それでも、ジェイクと同じ声であるその正体を突き詰め、脅威かどうか確かめるべきだと感じていた
「そう急かさなくても、俺のことはいずれわかる
じゃあな、闇堕ち」
「ーーーー。」
炎は業火に変わり、青年を包んで消えて行った
そのあとは黒く焼け焦げ、煙が部屋中に充満している中
ジェイクとヒルト、ユリエフが部屋を開けて駆け寄ってきた
風が部屋に通ることで、ジェイクはむせ返り、口を抑えながら辺りを見渡した
「ゲホゲホ・・一体、何があったんだ?」
咳き込みながら片目をつむるジェイクに
先に反応したのはフランシスだった
「彼が駆けつけてくれたおかげで、私は生き残れた
敵の奇襲があったが、見ての通り問題ない」
窓を開けながら話し、全員の視線はクライヴへ向けられる
「クライヴ!?」
「よかった!
無事だったんだな」
「心配しましたよ」
安堵の表情に変わる仲間に、クライヴは優しくため息をつきながら自分は無事であったことから、結界の中での出会いや現実世界に戻ってガウンを葬った話をした
ただ一つ、青年と出会い、その声がジェイクと同じであることは伏せて。