第11章 破滅の鐘
「君が私の元から離れ、破滅の鐘に殺されたことを告げられた時、何度も後悔していた」
「私もよ。
あなたの元から離れ、旅をでてからずっと前から破滅の鐘から離れようと計画していたことを知ったの・・
それなのに私は気づくことができなくて、あなたに酷い事を言ってしまい、傷つけてしなったことを後悔してたわ
あの時は・・ごめんなさい」
流ることはない涙をすくうように、フランシスはライアンの頬を指でなぞりながらやさしく包んだ
「・・・あなたの夢もきっと叶うわ
死者である私の魂でさえ、闇の中から見つけて導いてくれる存在がいたのですもの。」
「ライアン・・・」
「私の魂は浄化され、記憶もなくなってまた別の生を受ける
それでも、またあなたと生涯を共にしたいって考えてるわ」
ライアンは優しく微笑み、フランシスからゆっくりと離れていく
背後から白い甘布をかぶり、2メートルほどの翼を背中から生やした天族が死者の魂を回収しに姿を現したことに
生者であるフランシスは気づいていなかった
だが、クライヴは目でその存在を追い、不快なまなざしを向けていた
「もう、行かなくちゃいけない。」
ライアンは純白の鎖で縛られていきながら魂が浄化されていく
透けていく姿に、フランシスは唇を噛み締めながらライアンを抱くように両手を広げる
「愛しているぞ、ライアン」
「私もよ、最愛の人・・フランシス」
満面の笑みで浄化されていったライアン
天族によって天界へ行った時を見送り、静寂が包まれた時
クライヴはとある気配に気付き、フランシスに背を向ける形で立ち、大鎌を構える
「誰だ!?」
目線を向けていた先には影に隠れて身を潜め
漆黒のコートで全身を覆う人が立っていた
「ーーーこれは終わりでも、勝利でもない」
青年の聞き慣れた声に、クライヴの力が僅かに抜ける
「お前・・その声・・」
「鐘を鳴らしたのはインドリームだ
破滅の鐘は響き、その音色は絶望として内側から侵食していく」
「!」
コートを被った青年は瞬く間に距離を詰め、クライヴの傍に立つ
フランシスでさえ目前に立つ存在が危険だと察知できる程の
闇の魔力を宿しており、腰に装着していた剣を鞘から抜き取ろうとした瞬間
その手は青い炎に包まれていく
「なっ!?」
「無駄な事するな」
青年はフランシスを睨みながら呟く