第11章 破滅の鐘
ガウンの首に鎖を巻き付け、硬直した蛇の力で硬直した体に背後から大鎌を突き付けたのはクライヴだった
「半魔であればその効果はわかるはずだ」
「っ・・!
クライヴ・ベネディクト!
なぜここがわかった?!」
「お前の結界から出るために協力してもらった存在のおかげだな」
「なに?」
ガウンは結界内でそんな存在はいるはずがないと確信していた
だが、その確信はすぐに消え去り、あの人物のことを思い出す
破滅の鐘とつながっていた兵士団長の傍らに寄り添っていた魔術師
「ライアンか!
いや、だが奴は結界の中で溶けて死んだのを確認している
今更奴が生きていると――――」
「だれが、生きていると言った?」
「「な、に・・?」
「俺を甘く見るな半魔。
闇の中でさまよう魂など、俺にとってみれば花を摘むのと同じくらい簡単なことだ」
クライヴは見下した表情でガウンの背に大鎌を押し当て、腹に血が滲んでいく
「まさか、あの女魔術師の魂を現世に呼び戻したのか?!」
「死者の蘇生術・・・!」
ガウンの予想は的中し、緊迫したフランシスは驚嘆を隠せなかった
見た目はただの闇堕ちの少年だが、あのガウンを圧倒し、最愛の存在を結界の中で蘇生させるほどの力を有しているからだ
「厳密にいえば、ライアンの魂は結界の中で彷徨い続け、俺の配下が完全な蘇生へ導いたことになるが、それがなかったとしてもあんな場所に俺を封印できるとでも思っているなら
ここで死んでおけ。」
「っ・・クライヴ・ベネディクトは過去の記憶が無く、呪われた不死の身であり、更にその内には幾億という悪霊や魔獣、闇の騎士の魂を宿していると聞く。
そこまで力があればなぜインドリームと行動する!?
力があれば、我々以上に願いをかなえることだってたやすいはずだ!」
ガウンの充血した瞳は狂信者のものであり、力を求め、願いをかなえるためならば方法は厭わないありきたりな良く深い闇を抱えている
「・・・・。」
内側でライアンの魂が震え上がり、人であるフランシスも身震いするほど威圧的に感じるのだろう
だが、クライヴにとってみれば戯言と同じだ
力を求めすぎ、闇に堕ち、不死という呪いまで宿し、愛する存在も守れなかった己は最後に世界を破壊し尽くした
世界を闇に染めたのは自分自身だと言っても間違いではない事に気づいていたからだ
