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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




兵舎の最上階に位置する兵団長の執務室からは
ポーラル町の全域を見渡せるようになっており
海岸から中心部近くまで魔族に襲撃され、崩れる建物や所々で火が出ている

「・・街を魔族に襲撃させ、私の近くからインドリームを引き離すのが目的か。
破滅の鐘の結界師、ガウン?」

窓辺から町の様子を見つめながら、背後に傷を追いながら立っているガウンに
フランシスは振り向かずに話していた

赤く瞳を光らせながらフランシスを睨むガウンは透き通った窓ガラスに反射し、その正体を明かしていく
「その瞳、魔力・・半魔か」
「半魔だからこそ俺の魔力は十分すぎるほどあった
だが、あの闇堕ちが内側から結界を壊したことで全てが台無しだ
せめて、貴様を殺すことで使命を達成させれる」

闇に包まれた漆黒のキューブを手の平から作り出し
それは槍の形へと変形していく

「・・・」
「どうしたフランシス
抵抗しないのか?
お前の妻だった女のように、肉体を溶かされながらでも足掻いてみせたらどうだ?」

腰に装備している剣に微かに手が近づく
だがフランシスは頑なに戦意を見せようとしなかった
それは兵舎の最上階で戦ったとすれば、さらなる被害が街を襲い、兵士や街の住人が混乱をきたすと知っていたからだ
そしてそれこそがガウンの真の狙いであり、フランシスの抹殺は挑発や威圧に過ぎなかった

「これ以上、破滅の鐘の思い通りにはさせん」
「なんだと?」
「この街は人々が自分の意思を持ち、夢を抱いて歩んでいく。
貴様達のように重圧的で殺戮や負の感情を利用した悪行に
手を貸すことはない!
・・二度と手下になるのは御免だ。」

フランシスは固く強い意志で語りながらガウンの方へ振り向く
「だったら、ここで死ね」
「?!」

ガウンの槍の先はフランシスの目前まで一気に距離を詰め、瞬きをする間もなく寸前まで伸びてきていた
「終わりだ!」
渾身の力を込め、ガウンは槍をフランシスに突き刺そうとする

だが、その力はフランシスを突き刺す前に打ち止めされる
「な、なに?」
ガウンは金縛りのように体が動かせない状況で
僅かに動かせる眼球で自身に巻きつく漆黒の巨大蛇に気づく

黄金の瞳に青白く血色の悪い舌を出しながら
しっかりとガウンを睨んでいる闇の蛇
その蛇に半魔であるガウンは見覚えがあった
「この蛇、魔獣メデューサの?!」

「その通りだ」

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