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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




目線を逸らしながらそれ以上話そうとはしなかったジェイクにユリエフは深く追求することはなかった

風が勢いを増す中、ポーラル町の所々から黒い煙が上がっていた

「ユリエフ、ジェイク、あれを!」
「!?」
「魔族の襲撃・・・いや、破滅の鐘か!?」
「町にはライセイ達がいるけど、それでも急ごう!」
ヒルトは3人を包む風に更に魔力を流し込み、速度を加速させていく
「間に合ってくれっ・・・!」


風に乗り、町へたどり着く
そこには半壊した家々が並ぶが、町の住人は一人も姿を見せなかった
地面に転がるのは灰となった肉体だったものと、衣服や獣の爪の破片
既に襲撃され、混乱状況なのはすぐに理解できた

「っ、とりあえずライセイ達と合流をーーー」
ヒルトは足を進め、目の前に違和感に気づく

景色は変わらない
だが、目の前には見えない壁が作られているようであり、触れると固い岩肌のようだった

「結界・・じゃないよな?
この感覚は?」


「ヒルト!
無事だったんだね」

深緑のポニーテールをなびかせながら駆け寄ってきた少女は
両手についた泥を払いながら安心した表情で近づく

「イリヤ!」
少女の名を口にしたヒルトは目の前の違和感の正体が何なのか確信した
「イリヤの力で岩の壁を作ってたのか」
「うん、両面はイリヤの岩石だけど、それだけじゃあ外が見えないからアランちゃんの水の力も加えてるの!
だから目視できない壁になっているかな」

「イリヤさん、町の様子を見る限り何事もなかったのは明確です
敵は魔族ではなく、破滅の鐘ですね?」
「ちがうよ、ユリエフちゃん
町を襲ったのは魔族なの。
けど、それを連れてきた正体はわからないままなんだ」

「とにかく、ライセイとアランと合流しよう!
二人は今どこに?」
「あそこに向かってる」

ジェイクが急かすように仲間の居場所を聞くと
イリヤはまっすぐに町の奥に建てられた建造物へ指を指す
そこはドーム型の屋根をした自警団の本拠地であり、フランシスの居場所でもあった

「っ!」

真っ先に足を動かせて走るジェイク
その速さは仲間の安否の確認の時よりも早く、そしてヒルトでさえ目に捉えれないほどの瞬発力だった
「ジェイク!」
「先に行っては危険です!」
「ちょ、ちょっとまってよー!
まだ町には魔族がいるから危険だよっ!」


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