第11章 破滅の鐘
中層では炎で身を包まれ、うつ伏せに倒れて虫の息になるガウンと
その光景を冷酷な目で見つめるジェイクがいた
「終わりだ、ガウン」
「ぐっ・・流石は・・バルシウス家の者だ・・暗殺だけでなく、全てにおいて・・強者だな」
「・・・家系なんて関係ないだろ
唯、お前が俺より弱かった、それだけだ」
「ククク、そう、かもな」
這い蹲るガウンは虚ろな瞳で話す中、とある気配に気づき、目を見開く
「破られた」
「?」
小さく呟くガウンの声にジェイクは聞き取れず、聞き返そうとした時
何処からともなくガウンの背後から青く揺らめく炎の門が出現し、磁力で引き寄せられるように倒れていたガウンを吸い上げていく
「待てっ!」
一切の躊躇なくジェイクも炎の門へ飛び込んでいく
「ジェイク!」
「ジェイク君!」
螺旋階段を登り、追いついてきたヒルトとユリエフはジェイクの名を呼ぶ
だが、勢いよく吹かす炎の轟音の前に、声は届かず門は閉まっていく
「ユリエフ、俺達も行こう!」
「はい!」
ヒルトはユリエフの手を握り、風力を両足に溜め込み一気に門の中へ突入して行く
閉まり切る炎の門に対して風を巻き起こし、炎の勢いを強めたせいか閉門寸前だったが何とか侵入に成功した
「っ!」
炎の門の中では夏の感覚はなく、闇と炎が渦巻く空間が広がっていた
「ここは結界の中?」
「薄暗くて見えませんね・・安易にインドリームの力を使って罠が発動すると困りますし」
「いや、ここに来たこと自体が罠だ」
「!?」
薄暗い空間の中、ジェイクの声が響く
赤い炎が灯され、その姿をやっと視界に入れることができた
「ジェイク!
無事でよかった・・」
「ヒルトとユリエフも無事でよかった
けど、ここまで追ってきたのは間違えだったかもな」
「どういう意味ですか?」
「この結界はガウンの結界じゃなく、別の誰かのだ。
そして強力な結界だから、ここからじゃ抜け出せない
外側から破らなくちゃな」
「閉じ込められたってことですか」
暫く沈黙が流れる中、ヒルトだけは抜け出せる術を知っていた
「ライセイに渡したお守りがある」
「!」
「あのお守りは持ち主、または転移される者どちらかの願いを聞き入れる事もできる
それを利用すれば、俺だけ結界の外に行って外側から破壊することも出来る!」