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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




煙を出しながらヒルトの周辺は穴を開けている
だがヒルトは倒れることなく立ち上がり、大剣を握る

負傷したはずの傷は瞬く間に癒え、痛みは和らいでいく
不自然な治癒力にリリースは奇声を発しながら闇の波動砲を
ヒルトにめがけて放つ

「撃ち落とす!
風の三枚刃〈ウィンド・トリゥリズヴィークル〉!!」


巨大な爆風はヒルトの大剣と同じ形へ変形し
三枚の剣となり、円形を描くように高速回転する

魔族化したリリースから放たれる波動砲を三枚刃の風が受け止め、
回転する刃は闇の魔力を削り、波動砲の力を弱めていく

「うがぁぁぁっ!」
奇声を上げながら全ての魔力を注いでいくリリース
暴走状態で注がれる魔力は肉体を形成する生命力すらも
闇の魔力へ変換させ、対象の敵を倒すことに一身を注ぐ

ヒルトの風とリリースの波動砲が激しくぶつかり合う
魔力を注いでも少しづつリリースが押される現状に
ユリエフは華麗に空中を舞い、リリースに魔導弓を放つ
無数に放たれる光の矢は脳天から足先まで突き刺さり、筋力を弱めて行く

ふらつく足元に目線を向けた瞬間
リリースの頭上では僅かな隙から生まれた結果が待ち侘びていた

光の矢と暴風の刃がすぐ目前まで迫り、ほんの息を吸いあげた瞬間
体内から突き刺さる感覚が襲われる

「ギヤァァァァァッ!」

闇の魔力が風によって吸いあげられ、体外へ放出される邪念は光よって浄化されていく
赤く光る瞳で見つめ、リリースは意識が戻っていき、死を悟る

人としてはつい先に死んだーーーー
次は、完全なる死。

「もう・・し、わけ・・ありま、せんーーー
ア・・ド・・ラ・・様っ」

灰になって消えながら口ずさんむその名に
ヒルトとユリエフは勿論、聞き覚えはない
破滅の鐘のリーダーであることは理解できるが、その存在がリリースを魔族化させた張本人とは結び付きはしなかった

灰は風になって消え去り、散らばっていた銃弾も跡形もなく消え去る

「ユリエフ、無事でよかった」
「ヒルト君こそ、無事で何よりです」

息を切らすヒルトに、ユリエフは光の治癒をかけ、体力を回復させていく
「ありがとう、けど休んではいられない
ジェイクの応援に行こう!」
「はい!
全力でサポートします」

二人で目を合わし、勢いよく塔の中へ戻っては螺旋階段を登り
ジェイクとガウンの交戦場所へ向かっていく


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