第3章 半魔
「ほぉ、私を知っているとは光栄だね」
黄金の瞳を光らせ、ユリエフはマーベルの過去を透視していた
巡礼し、祈りを捧げ、苦難に陥っても決して人を憎まず、争いに参加することもなく、ただ一人で旅を続けるマーベルの過去
ユリエフの脳にすべてが入り込んでいく
だが、マーベルが血を流し、倒れる姿があった
「・・!」
その瞬間、電撃のような痛みがユリエフの目に走る
「っ?!」
とっさに透視をやめ、瞳に走る痛みを光の力で癒やした
「今のが何か、わからなかったでしょう」
「・・・・貴方は、もしや・・」
不気味な笑みをうかべるマーベルにユリエフは冷や汗をかき、身構えた
「そう、こうなることをすべてあの方々は想定していた。
インドリームと出会えば必然とヒルト・クローズとクライヴ・ベネディクトはマティウスの相手をする。
残るユリエフ・フォン・ガルシウスは私を止めに透視能力を使うだろう、とね」
「いったい、なにが狙いですか」
「ふふ・・私がほしいのは永遠の命。
人の形をしながら、ありふれた生命力を持つ君達天族の血肉をもとめているのだよ」
「ーーーー仮に私が敗れたとしても、貴方が求めるモノは手に入りません。
誰にそそのかされたかは存じませんが、人が永遠の命を受けることは不可能です。」
「果たして、そうかな?
私が実験していた結界であまたの人や魔族、半魔を別の生命体や媒体物に変えることに成功したからね」
「・・・・」
マーベルの話に、ユリエフは黙って聞いていた
「先生、私たちを助けてくれたのも、結界の力を教えてくれたのも、全部利用していたの?!
先生は、誰も傷つかない世界をつくるために旅をしていたって話していたのは、嘘だったの?!」
「ふっ、ははははは!」
高らかに笑うマーベル
「勿論、嘘に決まっているだろうエリンシエ!
私がそんな綺麗な人に見えていたのかね?」
「え・・」
「私もね、最初は人を本当に救いたかったのだよ。
だが、人は私を救いはしなかった・・・そこで私は知ったのだ、私が本当は何を求め、何をしなければいけなかったのか。」