第3章 半魔
ヒルトは両手を地面に当て、風を吹き荒らし、自身を含め、ユリエフ、クライヴ、エリンシエをまとめて空中に浮いた
「す、すごい!」
感動しているエリンシエは自身を包む風におそるおそる触れようとしながら呟いていた
「こんな使い方もできるなんて、風のインドリームはすごいのね」
「夢を力に変えるのがインドリームだからな、可能性は無限大さ」
「す、すごい・・。」
「さぁ、ひとっ飛びだ!」
ヒルトが前向きに体を傾けると風は急速に吹き、一瞬にして全員を森の中心まで飛ばした
ヒルトが飛ばした風は目的地に着くと解け、エリンシエはあたりを見渡していた
「同じ景色・・同じ森の中なのに、魔力を感じるわ」
「ここは結界の中心だからな、相手はすぐそこにいるってことだな」
纏っていた風を大剣に変形させ、ヒルトは冷静にエリンシエと話し、その場で魔法陣を描いた
円の中に星を描き周りには印字を浮き上がらせていく
「それは結界破りの解印術式の魔法陣・・!」
「解印術式ですか?」
結界に詳しくないユリエフは不安気に聞き返した
「結界の中に存在する者を無理やり現実へ引き出す術だ。ヒルトはエリンアシエを媒体にして、敵をこちらへ引きずり出すつもりらしい」
「でしたら、敵がこちらへきたとき、暴れ、周辺の環境が破壊されるのではないのですか?」
「ああ、だが、ヒルトが発動する術はただ引きずり出して終わりではない。敵がこちらへ来た瞬間、相手側の結界と俺たちが作る結界が一つになり、必然的に巨大な一つの結界の中で敵と俺たちが退治することになる。」
クライズの説明にユリエフはすぐに感じ取った
巨大な結界を作り上げるには媒体となるエリンシエにそれ相応の負荷がかかると。
「ヒルト君は、エリンシエさんにかかる負荷を考えてされるのでしょうか」
「・・さぁな、だが、あいつはとまらない。きっと風の性質など関係なく、あいつ自身が何か違うんだ」
「それはどういうーーーー」