第11章 破滅の鐘
「こいつら、ただの人間じゃないぞ」
「そんなの、見たらわかる!
とりあえず今はヒルトが動けない・・俺たちだけで戦うしかねぇだろ」
「あ、おいっ!?」
ライセイは体制を立て直し、ジェイクが止まる前に雷を纏い、リリースの元へ一気に近づく
目にも止まらない程のスピードで距離を縮める
「お、早いね
・・・けど、甘いね、ニヒヒ」
「?!」
その攻撃を誰が捉えれただろう
目視では追えない速さで振り下ろされた鉄槌は
ライセイの背骨に直撃した
声にならない激痛が全身を走り
そのまま勢いよく飛行船へ叩き落される
「ライセイ!」
ヒルトの声はライセイには届いていない事はすぐにわかった
全身を痙攣させ、血が混ざった泡を吹きながら仰向けで倒れるライセイ
瞳は白く濁り、淀んだ表情で瀕死状態だ
飛行船を覆っていた岩石はライセイが叩き落された衝撃で打ち砕かれ
船に残っていたイリヤとユリエフが駆けつける
「ライセイ君!?
こ、この傷は酷いっ・・!!」
ユリエフがすぐに治癒術を使用し、ライセイの傷を癒していく
その姿を上空から見ていたリリースは口が避けるほどの笑みを浮かべ
一気にユリエフに近づくために降下していく
「お目当てのインドリーム、見ぃつけたっ!」
腰にぶら下げていた重火器の銃口をユリエフへ向け
引き金を引くため、指に力を込める瞬間
先にリリースの視界が歪み、すぐに頬から頭部へかけて痛みが感じる
「ユリエフちゃんに、近づくなっ!」
砕け落ちた岩石を右手に固めた巨大な腕で
リリースの顔を殴り飛ばすイリヤ
相手が魔族でないとしても一切の躊躇を見せないその決意に
守られたユリエフが戸惑う程、力づく振る舞うイリヤ
再び空へ打ち上げられたリリースはすぐに体制を立て直し
鼻から吹き出る血を拭き取り、口から血を痰と混じって吐き出す
「・・・やるじゃん、土族」
「イリヤ、助かった」
「!
ヒルト君、ジェイク君、アランちゃん・・
あいつ、本気でユリエフちゃんを殺そうと向かってきたよ
それに、ライセイの傷が深すぎる」
飛行船の中に降りてきた仲間にイリヤは不安気な表情で話す
そして仲間が1人足りないことに違和感を感じつつも
いつ再び攻撃を仕掛けてくるかわからない
敵から目が離せなかった