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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




空が唸り声をあげているような音をたてながら
気流は上昇し、竜巻を作り上げて行く

飛行船を守るように竜巻が発生し、船をちょうど台風の目の中で留める

「すげぇ、こんな風を操れるのかよ」
「ジェイク、下がってろ
この風はただの竜巻じゃない」
「どういうことだよクライヴ」
「・・・見ていればわかる」

ヒルトの技がどんなものかわからないジェイクは
クライヴの背後で武器を構えながら立ち尽くしていた
だがヒルトと旅をして長いクライヴにとってみれば
これから何が起こるのか分かりやすく
無数に現れる魔族も一掃されると確信できていた

自身に満ち溢れた表情でヒルトが風を集めている中
一体の魔族か風に触れ、その肉体は灰になって消えようとしていた
「ギッ!」
虫のような奇声を発しながら崩れ落ち、闇を覆った異形はジェイクの足下へ転がって行く

「・・・」
死にかけている魔族を見つめながら黙っているジェイク
それは死ぬのを待つ沈黙ではなく、その魔族が倒れた衝撃で吐き出したあるものに見覚えがあったからだ
「鐘・・」
魔族の体内に潜められた小さな鐘は錆びてはいるが
見間違えようのないもの
「ーーーまさか、これは奴らの・・いや、でもどうして」
「どうした、ジェイク」
(クライヴに知られるわけにはいかないな)「いや、なんでもない」
魔族の体内から吐き出された小さな鐘をズボンのポケットに直し
無理矢理に不安気な表情も消し、何事もなかったように振る舞う
「この魔族には肉体的な傷が付いていないのに、どうして倒れて灰になっていくのか考えていたんだ
この現象、まるで魔力だけが抜き取られたようだけど・・」
「そうだ、それがこの竜巻の真の力だ」
「どういうことだ?」

「肉体的な攻撃ではなく、体内の魔力だけを風にのせ、外に出していくのがこの竜巻だ
風に触れたり一定の距離に近づけば内側から死ぬ仕組みだ」
「そ、そんな事もできるのか!?」
「現にできてるだろ
この風を使えば、その魔族の大元を引きずり出すことができる」
「ーーーー」


「風よ、悪しき闇を打ちはらい、真の道を切り開け!」

ヒルトは大剣を空に掲げ、一気に足下へ突き立てる
剣の動きに合わせ、竜巻は膨張しながら
一体の魔族へ目掛けて集中して狙う
魔族の群れの中心にいたその魔族こそが
永遠に無数の下級魔族を生み出していた


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