第11章 破滅の鐘
「ボス、俺がその闇堕ちを引き受けよう
俺の能力があれば、どんな力でも無効化できる」
「よし、闇堕ちはガウンに任せよう
リリースは対象の人物を狙いながら、他の奴らを無力化させろ」
「はぁーい!」
「いい返事だ
万が一、予定通りに動けない場合はプランBに移行する
その時は例の場所で合流だ」
ドミニカの指示に従い、ガウンとリリースは頷く
「さぁて、そろそろ魔族がインドリームと合流したころか」
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破滅の鐘が送り込んだ魔族
それはどれも本能の赴くままに動く下級魔族であるが、数が多く
更に空中戦に対抗できる者が少ない現状では
インドリームの劣勢になっていた
「イリヤ!
そのまま岩石の壁で船を守っててくれ!」
「わかったよ、ヒルト君!」
魔族の返り血を浴びながらヒルトは空中から身を回転させながら
イリヤが作り上げた球体の岩石の上に降り立つ
魔族の襲撃が起きてからイリヤは飛行船を守るため
すぐさま岩石の壁を作り上げ、空中で戦う仲間と船を完全に隔離させていた
「イリヤさん、皆さんは・・」
「大丈夫だよユリエフちゃん
ヒルト君達ならすぐにやっつけてくれるよ」
「そう、ですね」
ユリエフは胸に両手を置きながら心配そうに薄暗い空間の中
見上げていた
(何でしょう・・この胸騒ぎは・・私は・・怯えている?)
分厚い岩石は頑丈で、外での激戦は微かな音しか通さず
意思疎通をする時は岩石の目の前で大声で叫び、やっと通じる程だ
飛行船の周辺、空中ではヒルトの風で覆われながら魔族と激戦を繰り広げている
雷を纏った槍は飛行する魔族を追尾し、次々と黒く汚れた体を貫いて行く
悲鳴をあげる暇すらなく、その場で爆破し、消え去って行く魔族
「くそ、キリがねぇな!」
虫の群れのような大軍の魔族は渦を巻くように飛び
飛行船の周辺は闇の中のように包まれていた
「ライセイ、一旦下がってくれ」
「ヒルト!?」
「確かめたいことがあるんだ
俺の予想が当たっていれば、この魔族達全員を相手にしなくてもいいかもしれない!」
「なっ、本当か?!」
「あくまで、可能性だけど・・
当たってほしいな。
風よ!我が大剣を包みたまえ!」