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IN DREAM2

第10章 生命の源




海の中に潜り、人魚の姿へ戻るアラン
そこには深海にしか姿を現さないはずの水族の兵士達がいた

「終わったようだな、アラン」

海兵隊長のタキシードは多くの兵とそして族長、ダミアンを連れて浅部まで来ていた

「タキシードさん・・それに、族長までどうしてここに?」

「我々の領域にインドリームが姿を現す時、世界に革命が起きると予言されていたのじゃ。」
「革命?」

警備兵の群れから姿を現すダミアンはアランを見つめながら話す

「いかにも。
世界は闇に包まれようとし、それは暗黒戦争以来の最悪な事態につながるだろう
だが、必ずそうなればインドリームが姿を現し、正しき在り方へ導く――――
それに賛同し、正しい考え方に変えてこそ、生命は生き残れるのじゃよ」

「じゃあ、この海で姿を現したのは・・・」
「彼女、フィオレの亡骸を我が海に帰してやるやるためじゃよ」
「!」
「・・・我々は血で汚れた者、闇で汚れた者を一切領域へ入れることはなく、自ら深海から出ることもなかったが
君はインドリームとして大きく成長し、そして全ての生命が平等に生き、平和に暮らす世界を夢見た。
我々はそれに賛同し、種族としての在り方を変えてゆく必要があると判断し、ここにいたる」

ダミアンはアランへ近づき、フィオレの亡骸へ手をのばす


「フィオレ・バリシア
彼女には多くの苦痛が降り注いだだろ
島で亡くなった子供たちの魂も含め、せめて海へ戻してやろう」

海の中では涙を流していることはわからない
そして息をひきとったフィオレから流れるはずもない
それでも、黒く濁った雫が瞳からこぼれ、海面へ浮かんでいく

魔族として汚れた涙――――
従来の水族であればそういい、死体を海へ返すことなど考えはしなかっただろう
だが、インドリームの働きと実力によって一つの世界は変わった
水族という一つの種族が世界の表に立つことを表明し
これより積極的にインドリームの協力をすることを誓ったのだ
海王である水族の王は姿を現すことはなくとも
一族の意志として、代表者でダミアンが誓った

灰となって海へ消えていくフィオレの亡骸に
その場にいた全ての水族が祈りを捧げ、鎮魂歌を奏でた

海は静まり還り、人魚達の歌声は近域の船乗り、そして飛行船で待つインドリーム全員の耳に届くほどのものだった

「ありがとう、フィオレさん
そして、さようなら」
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