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IN DREAM2

第10章 生命の源




「やっぱり、アランちゃんは特別ね」
「え?」
「何も命令を与えずとも・・・水が勝手に守ってくれてる
それは・・・あなたは水に愛されている証拠・・・」
「フィオレさん・・・もう、しゃべらないでよ・・・」

涙を流しながら、アランはフィオレを抱き
そのまま立ち上がる

「なにを―――」
「決まってるでしょ!
こんな場所、フィオレさんの死に場所させないのよ」

崩れる洞窟を走り、アランはヒルトと合流しようと走る

「私は・・・・もう・・いいのよ」

灰になって消えていくフィオレに
アランは歯を食いしばりながら走り続ける

洞窟を抜けた先、そこには灰になってきえていく死人の水族達
そして消えていくメリッサの姿もそこにあった

「アランちゃん」
「メリッサ」

人差し指を海岸へ指し、微笑む
「あそこに、みんな来てるよ」
「え?」

微笑みながら話すメリッサの体は灰になり、消えて風になる

「メリッサ・・・」



「アラン!」
「?!」

森の中から駆け寄るヒルト、イリヤ、クライヴ
そしてユリエフはヒルトに抱きかかえながら意識が朦朧としていた


「この島が崩れていく!
すぐに風にのって逃げるぞ!」
「・・えぇ、わかったわ」



ヒルトの力は一気にアランを包み、風によって空高く飛んでいく

下を見れば消えていく故郷の島
時間が経てばたつほど崩れていくフィオレ
アランは先のメリッサの言葉にも気がかりだった

「みんなが来てるっていうのは、ヒルト達のことじゃないなら・・・・まさか・・!」

「どうしたんだ、アラン?」
「ヒルト、今すぐあたしを海へ落として!」
「え、はぁ?!」
「アランちゃん、危険だよ!」
「大丈夫、ヒルト、イリヤ
アタシのことは水が守ってくれる
・・ちゃんと合流するから、お願い」

ヒルトはアランが抱きかかえるフィオレの亡骸を見つめ
海へ視線を向ける
僅かに見えた先には、水族の兵士達がこちらを見ていた

「―――わかった、飛行船で待ってる」
「ありがとう、ヒルト」

直ぐにアランをかこっていた風は止み、アランは海の中へ急降下していく

「い、いいの?!」
「大丈夫だよ、イリヤ
アランは、フィオレさんを海に返すために行っただけだから」
「海に返す・・・?」



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