第3章 半魔
ヒルトは冷静に話、地図を取り出す
森の中心にマーカーで赤い印をつけている場所は
ちょうどクライヴがマティウスと会った場所だった
「そうだ、ちょうどこの辺りになる。
だが、何故ここだとわかった?」
「エリンシエが持っている結界師の演算方式の書物を
全部読ませてもらって、俺自身で計算した結果、
ここが1番怪しいと感じたんだ」
「結界師の書物を
ヒルト1人で半日で覚えたと?」
疑うクライヴにヒルトは照れ臭そうに答える
「あ、あぁ、俺の風の能力の使ってな」
「だとしても、一体どうやって・・」
「クライヴが闇の力を使うのと少し似てるかな。
クライヴは、自分の闇を相手へ染め上げ、魔力を自分の闇とシンクロさせる事で、この世の万物を自在に操れる」
「そうだな」
「俺は、万物に宿る魔力の流れを風を使って操り、自身へ取り込む事ができるんだ。
それによって本に宿る知識や風景などを、俺自身が体感しながら知る事ができる。
それが風を司るインドリームの力の一部なんだ」
「まさか、そこまでとはな・・・」
感心するクライヴ
だが、心のどこかでざわつく感情が芽生えていた
「さて、半魔の根城へと飛び込むには少し強引な方法しかないんだ」
「強引な方法ですか?」
「そう、まずは敵が共鳴する魔力をこちらから放ち、おびきよせた魔族か半魔の魔力とつなげる。
そうすることで結界の解除術式が読み取れるんだ」
「そんな複雑な事、できるのですか?」
心配そうに問いかけるユリエフにヒルトは冷静に答える
「俺は結界術式の知識は入っているから、問題ないんだ。
ただ、敵の魔力と似た魔力を繋げ、外へと誘導する側が一番大変なんだ。
天族のユリエフだと闇に汚染されやすいし、俺は結界の解除術をしなくちゃいけない・・」
「回りくどい言い方はよせ、担当直入に“俺にやれ”と言えばいいだろう」
少し不機嫌そうに話すクライヴ
「俺はクライヴの身も心配しているんだ。
例えおまえが特別な能力を持っている闇墜ちでも、相手の魔力と繋げることで・・」
「俺が闇に墜ち、暴走でもすると思っているのか」