第10章 生命の源
鋭くとがった山容の剣が峰
山頂には雲がかかり、頂は目視で見えない
島を一望できる景色を背景に、祭壇で横たわるユリエフは嘔吐物を口から流しながら涙を流す
汚れる祭壇にはかつて水族が平和に暮らしていた際の物語や
神話が刻まれている
「っ・・・」
フィオレの能力――――〝黄泉還り〟により、死者を現世に無理矢理呼び戻し、その存在につながる者の過去を見せられ
ユリエフの中にフィオレの全てが流れてきた
暗黒戦争によって奪われた命
闇族によって敗退した水族
救いを協議とする天族による汚職
それによって追放された身体
暗黒戦争ではただの奪い合いだけではなく
後世にのこる呪いをまき散らしていた
闇族だけがそうしたのではなく、暗黒戦争に参加した天族もその一つだった
地上の種族に好まれていないことは知っている
それを受け止める覚悟はできているはずだった―――――
だが、現実はとても残酷であり
天族が堕天を避けるため、他の種族に闇を移植し、生き延びていたとは想定していなかった
いや、信じたくもない事実であった
口を抑え、涙目になるユリエフの元にフィオレは座り込み
ため息をする
「インドリームとして、そして天族として過去の行った行為を受け止め、ここにいると言った言葉はこの程度なのね
第7聖人、光を司る者、ユリエフ・フォン・ガルシウスさん」
「どうして・・私が聖人であることを・・?!
まさか、あなたは彼女達と繋がって・・?!」
「そうね、少なくとも、地上にいる魔族の大半はあの堕天使アルトリアと繋がり、そして闇の神に献身に仕えているのよ」
「!」
「そんなに驚くことでもないでしょう?
暗黒戦争が始まる前は闇の神も、光の神も、世界中に各種族の神が存在し、それでも人々は平和に生きていたのよ
今、元の姿に世界は戻ろうとしているだけ。」
「元の姿?
つまりそれは・・・・」
「ユリエフッ!!」
「?!」
「――――待ってたわよ、アランちゃん
そしてインドリーム」
息を切らし、汗を流すアランとヒルト、クライヴ、イリヤ
「みなさん・・!」
顔色を悪くし、よろけながら立とうとするユリエフ
だが手足を鎖で拘束され、身動きがとれない状況のまま
髪をフィオレに掴まれ、無理矢理立たされる
「うっ!」
「もうやめて、フィオレさん!」