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IN DREAM2

第10章 生命の源




これは、アラン・フォースタスの過去である


人の顔を覆うほどの大きな葉が右往左往に生えているジャングルを
両手で掻き分けながら進み続ける足取りは早く、既に1時間程歩いているが速度を落とすことなくまっすぐ歩いて行く

「早く逃げなきゃ・・」
顔についた泥を拭きながら、アランは歩いている

服は灰で白く汚れ
所々破れてみすぼらしい格好になるが、マントで隠しているせいで見分けはつかない


闇族から逃げ、フィオレや仲間達と離れて過ごしていたアランは
戦火から逃げるように西へ歩き続ける
水族の敗退と東から攻めてくる闇族から逃れるには
西にある氷の一族しかないと思っていたのだ

静寂を守る氷の一族は暗黒戦争に参加せず、中立を保つ国であるため
多くの難民が流れ込んでいた
だが、その大半が氷の一族の領土内で生き絶えている
それは氷の一族での暮らしは極寒であり、適用できる者は氷の一族とその眷属である水族のみだったからだ

「なんとか、逃げなきゃ・・・!
この力でまた大切な場所を無くさないためにも、アタシはーーーーー」



「おい、そこのお前」
「?!」
「・・どこの種族だ?
ここは俺達の拠点だぞ」

突然背後からかけられる青年の声
聞き覚えのない声と敵意が感じる空気
振り向けば殺される
「・・・」
アランは一言も発さず走り出す
青年はアランが逃げ出した事で勢いよく追う
何か話しかけている声すら耳に入れない
いや、入ってこない
アランには恐怖が迫っていた
それは青年が味方ではない事が確実であるからだ

深海へ逃げた水族や空を守る風族が個別で地上に降りる事はない
土族は必ずゴーレムを連れている
だがあの青年は1人であり、どこからか強烈な血の匂いも感じる
先まで命を奪い続けた者の証拠だ
確実に敵の種族ーーーー

捕まれば殺されるか、捕虜として地獄が待っている
だからこそアランは必死で逃げ続けた


だが青年の方が遥かに早く
アランは頭を抑えられ、そのまま地面に叩き倒される
「っ?!」
倒れた衝撃で被っていたフードは外れ、青年の手が首下を締め付ける
両手で腕を掴み、抵抗するアラン
だが青年の手は灼熱のやうに熱く、首が焼け落ちる程の激痛が首から全身に走る

「アンタ・・火族?!」
「そういうお前は水族か」
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