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IN DREAM2

第10章 生命の源




「あたしもこの島も、あの人が作り上げた夢の理想郷。
あの幸せな日々に戻り、刻まれない時間の中で生き続けたいと願った結果よ」

「あの人の理想郷?
メリッサ、その人ってまさかーーーー」


アランの問いに、メリッサは頷きその意味を理解する

「・・メリッサ
あの人、フィオレさんはどこにいるの?」
「この島の中心。
あの山の岟に水族が古より作り上げた遺跡があるの
そこに天族と一緒にいるよ」
「ありがとう。
アタシ、もう行かなくちゃいけないわ
これからアタシが目指す夢を叶えるには、どうしても乗り越えなくちゃいけないから。」
「うん、そうだね
アランちゃんは強いからきっと大丈夫!
フィオレさんと・・この世界を救ってあげて」

優しく見せるメリッサの表情に
アランは涙を堪えながらメリッサを抱き寄せる

「アラン・・・ちゃん?」
「会えてよかったわ、メリッサ
貴方は現世に呼び戻され、誰かに翻弄されるなんて望んでないかもしれない。
けど、アタシはこれから全てを終わらせなくちゃいけない」
「ーーーあっはは、それでいいじゃないのアランちゃん
夢に向かってまっすぐ進み、命を敬う者・・・それがアラン・フォースタス
水族の誇りだよ」
「ありがとう・・・」

アランが抱き寄せていた力を弱めると
メリッサ自ら手を握る

腐った骨、腐敗した皮膚がアランの指先から伝わる
死臭はしないものの、一度見た本来の姿はアランの脳裏に焼きつき
生前の姿で目には写っても、現実を避けることはできなかった

悲しげに見つめるアラン
それでもメリッサは満面の笑みで返す

「いってらっしゃい、アランちゃん」


「ええ、いってきます」


ゆっくりと目を閉じ、ため息をつくアラン
そしてメリッサの前を通り過ぎ、ヒルト、クライヴ、イリヤの元へ近づく


「アラン、大丈夫なのか?」
「心配いらないわ、ヒルト
それよりユリエフを助けに行って、この歪んだ世界を戻しましょう」


砂浜を歩き、ジャングルの奥地へ足を踏み入れていくアラン
ヒルト、クライヴ、イリヤはメリッサを警戒し、視界の端に入れながら付いていく
アラン以外はメリッサの声や言葉が聞き取れないため、どんな話をしていたのかわからない
だがアランを信じることも仲間として必要なこと
それを誰よりも理解しているヒルトは
迷いなくアランに従い、歩みを遅くすることはなかった

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