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IN DREAM2

第10章 生命の源





血を流し、吐血する仲間達
全員が体から闇を吹き出し、倒れている
そしてフィオレ自身の手にも闇が溢れ、爪が僅かに伸びていた
「ま・・さか」
震える声は誰にも聞こえない
それでも何が起きたのか、全員が理解した

「浄化移植、だと?」


浄化移植ーーーーーー

それは天族が開発した浄化の術

体に溜まった闇を抱えることで堕天使となることは
死ぬことよりも悲惨であり、堕天使となった者は永遠の牢に繋がれ、封印される
そうならないためにも天族は闇という汚れを
別の生命体、あるいはそれに準ずるモノに移植し、体と心を清める術を作り上げた

地上に住む種族では伝説といわれていた秘術に等しい
目の当たりにするのも、移植されるのも初めてであったフィオレは
恐怖で身体が震えた

「では・・・私達は魔族になってしまうのか?
あの天族達のせいで?」

信じたく無い現実
全てを忘れて逃げ出したい
生きることを放棄したい

「クソッ!」

近くに落ちていた短剣を掴み
腕の動脈を切ろうとする

だが響くのは皮膚が裂ける音ではなく
強制的に歪む金属の音

短剣は直角に歪み、フィオレの皮膚には一つも傷がつかなかった

水族特有の鱗が更に強化になり、只の短剣では傷がつかないほど
肉体は闇の力で強化されている
自ら死ぬことすら許されない呪い、それが魔族
心の奥底から湧き上がる聖者への憎しみ
どの種族よりも早くに敗退し、同胞を見捨てて深海へ逃げた一族の劣等感
守るべき仲間を守れず、魔族になることを止めることすら出来なかった

「・・・こんな命を・・どう使えと言う。
こんな世界は・・歪んでいる」

涙を流し、腰から力を無くすフィオレ

誰も声をかけれるほど余裕はなく
全員が目を合わせることなくひた向きになる



「確かに、こんな世界は間違ってるよね」
「?!」

突如、フィオレの隣に立っていたのは
少女の姿をした茶髪の魔女だった
とんがり帽子と紫色のドレスを着た魔女は
赤い瞳を光らせ、無邪気な笑顔で語りかける

「こんにちは、水族の皆さん、そしてフィオレさん
あたしはルキュリア、よろしくね」
「ルキュリア?
何者なの?
どうして私達の名前を?」
「魔女には沢山の情報網があるからね。
名前と種族くらい簡単にわかるよ」


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