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IN DREAM2

第10章 生命の源




純白の髪に白銀の瞳
雪が溶けたように透き通る肌
背中から生える二つの翼は成人男性を容易く包める程の大きさをもつ

人界離れしたその姿は一目見た瞬間から
どの種族であるか明らかだった

だが、その高貴な姿も身体の半分のみだった

もう半分の髪は黒く汚れ
肌は死人のように青白く変色し
背中から生える翼の片方は羽が抜け落ち、朽ちかけていた

全身につけている金の鎧は錆び、疲弊している数人の天族達

その中心には木へ腰掛け、虫の息の大男が目を瞑っていた

「天族なのか・・・?
いや、そもそも私の仲間に何をしているの!
お前達は連合軍の加勢のために下界し、戦っているのでしょ?!」

「ーーーーー隊長、こいつも水族です」
「・・・」
「まだそこまで汚れていない生命体だな
この男と併せて浄化の媒介物にしよう。
よろしいですよね、隊長?
貴方と我々が堕天しないためにも、必要なことです」
「・・・うむ。」


「堕天?
浄化?」

フィオレは両手のナイフを握りしめ、天族が何をしようとしているのか考えた
理解できるのは、目の前の天族達は味方ではないということ

草を踏みつけながら近く1人の天族が手を伸ばした瞬間
反射的にナイフで腕を斬りつけ、距離を置くフィオレ

「!」

目にも止まらない動きで切られたことで
天族の右腕から血が吹き出し、力を無くす
「・・・」
天族は痛がる仕草を見せず、フィオレだけを睨みつける
「ッ・・ハァ、ハァ、ハァ」

ナイフにこびりつく血をふりはらいながら
緊張のあまり息をきらすフィオレ

「ーーーあーあ。
やってくれたな、水族」
「?!」

鋭い目つきで睨みつける天族は
瞬時にフィオレの目の前に移動し
腹と頭部を連続で殴り、服を破き全裸になっても構わず殴打を続ける
抵抗することすら許さない攻撃が続く
「っ」
声を発することなく意識が遠のいていくフィオレ

最後に見えたのは天族が仰向けになる己に乗り
鎖を全身に巻き付けていく光景だった




次に意識が戻った時、肉体に変化がきているのがわかった


「うっ・・あ、れ?」

目を覚ました時、暴行を繰り返し行い
疲弊していた天族はどこにもいなかった


「フィオレ・・・さん」

いたのは掠れた声で這いつくばる仲間達

「無事ですか・・」
「俺たちも・・・あの天族の・・使い捨ての道具にされちまった」


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